社員が辞めてしまう会社では何が起きているのか。日本マインドワーク協会代表理事の濱田恭子さんは「些細な感情問題を放置していると、『ちりつも』で大きな問題に発展してしまう。私がコンサルに入った職場では、『机の上のゴミ』がきっかけで10人中8人が辞表を出す騒動に発展した」という――。

※本稿は、濱田恭子『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

些細な問題が「ちりつも」で大きくなる

たとえば仕事でイライラすることがあったとします。「飲み会で憂さ晴らししよう!」、それも「ガスを抜く」という意味では悪いわけではありません。パンパンになっている感情の風船をゆるめることになりますから。

でもそんなふうに、ずっと抱えているイライラを、単純な気晴らしで対応していると、物事は少しずつ大きくなっていきます。

風船に針
写真=iStock.com/simonkr
※写真はイメージです

感情はサインのようなもの。このサインは「ちりつも」(ちりも積もれば山となる)で、一つずつは些細なことでも、それぞれの段階の臨界点を超えると、コップの水がいっぱいになってあふれだすように、次の段階に進んでいきます。

そして日常に影響を及ぼします。

「サインの5段階」を知ろう

では、サインにはどんなふうに段階があるのでしょうか。図表1を見てください。

第1段階 なんとなく嫌な気持ちになります。ほとんどの人がここでは何も対処しません。

第2段階 次に、ちょっとした感情のサインが現れます。この段階で、先ほどお話ししたように、「飲みに行く」「人に愚痴を聞いてもらう」などのガスを抜く行動をする人もいます。

第3段階 小さな出来事が起きます。ちょっとしたことなので、多くの人はこの段階に来ても何も対応しません。

第4段階 いよいよ事件が起きます。ここへ来て具体的に物事が起きるため、自分のサインと向き合わざるを得なくなり、何かしらの対応をします。

第5段階 いよいよ最終段階です。さらなる大きな問題が起きます。ここまで来ると、対応するどころか、現実を変えざるを得ないほどの強制力を持ちます。