私も愛用する「日本製のオムツ」の凄み

たとえば、耳が遠くなっているのなら素直に補聴器を受け入れる。そうすることで少しでも長く人との会話を楽しむことができます。補聴器を拒否して会話から遠ざかっていると、あっという間にボケたようになってしまいます。

杖にしても、シルバーカーにしても、拒否して転倒骨折ということになると、寝たきりに直結する可能性が高いし、歩くのが面倒になって外出しなくなると、歩行困難になるだけでなく、脳の機能低下にもつながります。

高齢者がもっとも嫌がるものの一つにオムツがありますが、日本製は吸収力がすごくいいので活動の幅が広がります。実は、私も愛用者の一人です。

写真=iStock.com/Toa55
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数年前に心不全と診断されて、利尿剤を飲む羽目になり、トイレが近くなって困っていました。

そこで思い切って長距離ドライブのときには、尿漏れパッド付きのパンツを使うようになったら、運転中に、また出張先でトイレを探し回らなくても済むようになり、安心してドライブできるようになりました。

素直に「文明の利器」を受け入れられるかどうかで、高齢者のQOL(生活の質)は大きく変わると思います。

「この老いを生きているのだ」と考えられるか

どんなにあらがおうと、老いを受け入れざるをえない時期が、80代以降にやってきます。個人差はあっても、遅かれ早かれ必ずやってくるのです。

そのときに、自分の老いをありのまま認めることができなければ、その後の10〜20年を生きていくのはひどく辛いものになってしまうでしょう。

100歳近くになると、寝たきりで老衰死するケースが一般的になります。だれもが高い確率で、穏やかな自然死を迎えることができるのです。

80代以降は、老いていく自然の成り行きを味わいながら、事故や大病で命を落とすこともなく、天寿をまっとうしつつあるからこそ、この老いを生きているのだ、と考えてもいいのではないでしょうか。