CNNによると、国連の専門家グループは、食糧不足は「イスラエルの意図的かつ標的を絞った飢餓キャンペーン」によるものだと断定している。専門家らは、「パレスチナ人に対するジェノサイド的な暴力の一形態であり、ガザ全体で飢饉を引き起こしている」と批判した。

ガザの食料状況を分析した『統合食料安全保障段階分類(IPC)報告書』(PDF)によると、ガザの人口の96%が、5段階中3番目に深刻な「危機」レベル以上の食料不安に直面している。また、50万人近くが5段階中最も深刻な「飢饉/大災害」の状況にあるという。イスラエルの軍事作戦と封鎖が続く中で、ガザ地区の人々は、生きるため食糧を入手しようと必死だ。

1発のミサイルで、14人の家族・親戚をすべて失った

攻撃により、家族を失う人々が絶えない。

米NGO「ANERA」でプログラムオフィサーを務めるスアド・ルッバードさんは、ガザ地区北部のテル・アル・ハワに住んでいた。だが、昨年10月7日、彼女の生活は一瞬にして破壊された。

英ガーディアン紙によるとこの日、イスラエル軍が反撃として放ったミサイルが、彼女の姉の家を直撃。14人の家族や親戚を一度に失ったという。ルッバードさんの姉、姉の夫、姉の息子とその家族、姉の娘とその家族、そして姉にいたもう一人の娘が犠牲となった。

ルッバードさんはその後、避難のためガザ地区内を転々とした。彼女は現在、ハン・ユニスで食料配給の責任者として働いているが、生活は非常に厳しい。テント生活を余儀なくされ、暑さや湿気、砂、虫に悩まされている。水は塩辛く、電気もインターネットもないという。

こうした不意の攻撃は、たとえ妊婦であろうと容赦なく降りかかる。フランス24は、ガザ南部のハン・ユニスで避難生活を送っていたショルークさんの事例を取り上げている。

避難中に帝王切開で出産した母親の嘆き

ショルークさんは戦闘の激化を受け、ハン・ユニスからラファへと逃れた。妊娠中の身で避難し、移転先のラファでは帝王切開で出産したが、翌日には再び避難を余儀なくされたという。

「4つの病院を巡りましたが、どこも(帝王切開の)縫合糸を抜糸できる状態ではありませんでした。結局のところ母が糸を抜いてくれたんです」と彼女は語る。産後ケアを受けることはできず、赤ちゃんの健康状態も悪化している。水の衛生状態が悪く、赤ちゃんは腸内の寄生虫に苦しんでいるという。

また、ショルークさんは、「私たちのアパートは完全に破壊されたと聞きました。今、私たちには娘以外、この世に何も残っていないのです」と語る。

2023年10月8日、ガザ市でイスラエルの空爆により破壊されたアル・アクルーク・タワーの廃墟を視察するパレスチナ人(写真=WAFA/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons