元拘留者の証言によれば、スデ・テイマン基地では、殴打などの虐待が横行している。救急車の運転手であるムハンマド・アル=クルディさんは32日間拘束され、殴打を受け続けたと証言している。法学生のファディ・バクルさんも、イスラエル兵に捕らえられた。裸にされ、携帯電話と貯金通帳を没収され、繰り返し殴打されたと振り返る。
同紙はまた、イスラエルの国内情報機関であるシン・ベトが、拘留者に電気ショックの拷問を行っていると報じている。トラック運転手のイブラヒム・シャヒーンさんの証言によると、電気椅子に座らされ、数回にわたり拷問を受けた。
一方、イスラエル政府は、スデ・テイマン基地での「体系的な虐待」を否定し、こうした証言については「明らかに不正確、または完全に無根拠」だとして否定している。
「完全なる不道徳」に目を閉ざしてはならない
英ガーディアン紙のコラムニストであるネスリン・マリク氏は、ガザ地区の人道危機において、「完全なる不道徳の時代」が到来したと論じる。
難民キャンプのある南部ラファへの攻撃を停止するよう、国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルに求めるなど、ガザの人道危機を解決する国際的な試みは幾度となく行われてきた。だが、そのどれを以てしても停戦に至ることはなかった。
食糧危機や医療崩壊で基本的人権が脅かされるなか、繰り返し報じられるガザの状況はもはや日常的となり、国際社会の無関心が広がっている。これが「完全なる不道徳の時代」の到来であるとマリク氏は言う。
イスラエル軍による絶え間ない攻撃と地区封鎖により、ガザの住民は医療と食糧を失い、日常を破壊された。医療システムは崩壊し、負傷者は適切な治療を受けられず、感染症が蔓延している。食糧不足も深刻で、多くの家庭が飢餓に苦しみ、子供たちが栄養失調で命を落としている。
各紙が報じる具体的な事例は、顔の見える戦争被害者の実例として、穏やかだった日常がいかにひどく破壊されたかを私たちに語りかける。今日この瞬間、飲み水すら満足に確保できず苦しんでいる人々がガザにはいることを、私たちは忘れてはならない。