他人の言葉は頭に残りにくい
「自分の言葉で言い換えたノート」というのは、その講義で使われた言葉や本に書いてあった文言と、あえて全然違う言い方に直して説明するというものです。具体的な説明をしたり、記号を使ったり、別の類義語を使って説明をするのです。
例えば、「最近、円安の傾向が顕著」という情報があったとしましょう。これをみなさんならどのように言い換えますか?
「円安」=「円の価値が下がること」
「傾向が顕著」=「そういう状況が続いてしまっていること」
と言い換えて、「円の価値が下がってしまう状況が続いてしまっている」というように、「円安」「傾向」「顕著」という言葉をそれぞれ言い換えるのです。
言い換えた言葉や説明は、稚拙な言い回しになってしまったり、最初よりもわかりにくくなってしまうかもしれません。でも、コピーアンドペーストして、そのまま書くよりも頭を使うことになります。言い換えを考えるという行為自体が、自分の頭で考えてアウトプットすることに繋がっていくのです。
ですから、授業や講座・相手の話が終わった後に、「全部を言い換えたノート」を作り直していくと、すごく頭に残りやすくなるのです。すべての分野で言い換えを行うのは難しいと思いますが、自分が学びたい分野・ここは重点的に頭に入れたいと思う部分だけでも作ってみるといいのです。
東大生が授業「後」にノートを取る理由
実は、東大生のノートの取り方は目的の部分から特殊です。
通常、ノートは「あとから見返したときに復習できるように取るもの」と思いがちです。おそらく、多くの人のノートやメモを取る目的は「1回で覚えきることができないから、あとからチェックできるようにするため」だと思います。
しかし、それだけがノートやメモを取る目的なのだとしたら、今の時代、もう必要がありません。なぜなら、スマホで写真を撮ることもできますし、相手の話をボイスメモで録音して文字起こしアプリで文字にすることもできるからです。
ノートを取るのに10分かかったとして、写真を撮るのには1秒もかかりません。ボイスメモだって、いまはとても精度のいいものがあります。それにノートやメモなら何かを間違えて記述してしまうことがあるかもしれませんが、写真やボイスメモならそんなことは起こりません。
東大生は「あとからチェックする」目的でノートやメモを取らないのです。ふつうは授業中にノートやメモを取って、終わったら教室を出ると思うのですが、東大生は授業中は写真やボイスメモを使い、授業後になってノートやメモを取っている人が多いのです。
手に入れた情報を説明できる状態に変換する
彼らは授業が終わってから、どんなノートやメモを取っているのでしょうか?
それは「咀嚼」です。
手に入れた情報を、整理して、理解して、説明できる状態に変換する行為をしているのです。それこそが知識を自分のものにするための手法なのです。ノートやメモを取ること自体が頭をよくする行為なのです。