相手のエピソードを深掘りしてみる

話題を自分にシフトする返答をときどき使うのは構いません。相手だってこちらのことを知りたいでしょうし、あなたも「質問をいつもはぐらかす引っ込み思案な秘密主義者」というレッテルを貼られたくないでしょう。

とはいえ、あまりに頻繁に会話のボールを奪う過ちを犯している人が数多く存在します。

雑談をうまく運べるようになりたければ、相手をサポートする受け答えにもっと力を入れてみましょう。結婚支援事業を展開するコミュニケーション・コンサルタントのレイチェル・グリーンウォルドによると、そのための方法はいくつもあります。

相手がコメントやエピソードを話したら、こちらから「何が楽しかったですか?」「え、その後どうなりましたか?」「その時どう思いましたか?」と問いかけます。こうした声がけが、相手が話をさらに広げたり、深めたりしても構わないという合図になります。

自分の同じような経験に話題を引き込もうとせず、相手の話をサポートする姿勢を身につけるほど、無理なく自然に合いの手を入れられるようになります。

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「最近どうですか?」「お仕事は?」はNG

私の義母は雑談が黒帯級の腕前で、ちょっとした会話を弾ませて楽しむのがとても上手でした。「もっと話して」を口癖にしていたのが強く印象に残っています。

他の家族はだいたい、会話の順番を譲って聞き役に回るのが苦手で、互いの話を聞かずに全員でいっぺんに話すという有様でした。声の一番大きい人が勝ち、それ以外の意見は通りません。

会話のボールを喜んで譲り、相手に「もっと話して」と言う義母が、どれだけ特異な存在だったかわかってもらえるでしょうか。「もっと話して」という言葉を聞いただけで関係がとても近くなったように思え、彼女が他の人の話から多くを学んでいることにも気付きました。そして、私も見習いたいと考え始めました。

相手を主役に据えることは、会話の始まりと終わりのきっかけ作りにも役立ちます。誰かと話し始める時に「最近どうですか?」や「お仕事は?」という退屈な常套句を使うのは避けましょう。会話の出だしを、相手の人柄や考え方に対する関心を示すチャンスと捉え直してください。

その場の様子について質問してみるのは良案です。「青シャツの人がこんなに集まっている光景を見たことがありますか?」とか、「この建物の窓の数をどう思いますか?」という具合に。早々に打ち解けられるよう、相手の人柄や、相手と共通する経験に興味があることを伝えるのです。

雑談の機会があるイベントへの参加予定があれば、会話のきっかけに使える質問をいくつか前もって用意し、相手への思いやりと関心を示せるようにしておくと便利でしょう。