ウクライナのロボット兵器は一般に、身近な部品で作られていることが多い。ニューヨーク・タイムズ紙は、ラズベリー・パイなどホビー用小型コンピューターや、家電店や金物店などで入手可能な部品が使われていると解説している。
戦場に投入されはじめたロボット兵器に、西側諸国も動向に注目している。米シンクタンク「海軍分析センター」の研究者であるサム・ベンデット氏は昨年12月、米ディフェンス・ニュースの取材に応じ、「移動が困難な戦場でロボットは、兵士の負担を減らし、敵の攻撃を回避する有効な手段となります」とみる。
ロボット兵器の役割が急速に拡大している
ロシアの本格的侵攻が始まった2022年以降、ドローンが戦闘の形を変えた。昨年後半から今年にかけ、地上ロボットの役割も急速に拡大している。これまでの戦争では、地上ロボットは主に支援任務に使われることがあった。ウクライナでは、攻撃任務にも投入され始めている。
戦場は様変わりし、ロボット同士が攻撃し合う時代へと突入する可能性がある。米ワイヤード誌は、飛行型ドローンが走行型ドローンの監視や攻撃に使われたり、走行型ドローンが飛行型を叩き落とすための妨害技術を備えたりする事例がすでに発生していると報じている。
ウクライナ軍もロシア軍も、走行型ドローンを戦場における重要な要素と認識しており、戦略や戦術に大きな影響を与える可能性がある。特にウクライナにとっては、ロシア軍の圧倒的な数的優位に対抗するうえで、ロボットの投入は必須となるだろう。
一方で、今後は戦術が変化するとの指摘もある。米国海軍分析センターのベンデット氏は、ワイヤード誌に対し、UGVの導入により、「オペレーターや支援組織を標的にする方向にシフトするでしょう」との予測を示す。
現状でも、偵察任務などをより安全に実施できるようになったとの評価がある。だが、ロボット兵器により戦場での犠牲者が本格的に減るか否かは、今後の両軍の動き次第となりそうだ。