<ウクライナ政府が主導する研究プログラムが、赤外線センサーから対象者を「隠す」マントを開発。その性能の高さを示す動画を公開した:デービッド・ブレナン>
森の地面に隠れる狙撃兵
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高性能なカメラを搭載した多くのドローンが飛び交うウクライナの戦場では、夜間であっても兵士たちは常に敵から攻撃を受ける脅威にさらされている。そうした状況を変える可能性をもった「透明マント」の量産準備が整ったと、ウクライナの開発チームが本誌に語った。その魔法のようなマントの効果は、テストの様子を撮影した動画を見れば一目瞭然だ。

この「透明マント」は、ロシアの赤外線センサーからウクライナの兵士を隠すことを目的に開発されたもの。すでに月間150枚の生産が可能な状態だという。

ウクライナ政府が主催する研究プログラム、ブレイブ1の下でマントを開発しているチームのマキシム・ボリアックは10月4日、戦場で使われている暗視装置に対応するため、すでにマントは改良段階に入っていると説明した。

「マントをテストした軍からは、肯定的なフィードバックとともに、助言や要望があった」とボリアックは振り返り、「私たちの科学研究が近い将来、改良版マントの成功によって報われることを願っている」と述べた。

10月に入り、ブレイブ1がマントのテストの動画を公開すると、ウクライナの新技術担当副首相兼デジタルトランスフォーメーション(DX)担当相ミハイロ・フェドロフは、「おとぎ話の透明マント」に例えてその性能を称賛した。

実際の完成度は動画で示されている以上に高い

ボリアックによれば、この技術の実際の完成度は動画で示されている以上に高いという。「動画では人間の顔部分を認識することができるが、これは専用マスクで覆われていないためだ。マントのキットにはフェイスマスクが含まれている」とボリアックは説明する。「フェイスマスクと専用のサングラスを着ければ、赤外線カメラからは完全に見えなくなる」

「現在、生産能力は月間150枚が限界だが、必要であれば増産も可能だ」とボリアックは述べる。ウクライナ軍がこの技術を採用するか、採用する場合はいつになるかは不明だ。

「動画で紹介したサンプルは量産可能だ。周囲に自然植生があれば、立っているとき、座っているとき、横たわっているときと、どのような姿勢でも幅広く使用できる。開けた場所では、横たわっているときのみマントを使用できる」

ボリアックによればこの技術は、隠密行動が必要な部隊をはじめ、さまざまな専門部隊を念頭に置いて設計されているという。特殊作戦、偵察、破壊工作、工兵、狙撃、さらには、塹壕ざんごうの監視所で見張りを行う兵士、軍事施設をパトロールする兵士などだ。