クマが民家に侵入する事件が相次いでいる。東京・奥多摩在住のノンフィクション作家・人喰い熊評論家の中山茂大さんは「民家にエサがあることを学習し、付近に居座っている可能性が高い。私の自宅にも、過去に2度クマが出たことがある」という――。
クマ
写真=iStock.com/ChristinaPrinn
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民家にクマが侵入するようになったワケ

今年もクマの目撃情報が相次いでいる。

中でも岩手県雫石町の民家にクマが押し入った事件は衝撃的であった。

なんとこの1週間で4度も、クマが屋内に侵入したというのである。

報道によれば、7月5日には、<家の外に追い払ったクマが立ち上がって玄関の扉を開けて再び入ろうとしたので、男性は扉を必死に2分間にわたって閉めていた>といい、さらに8日深夜には、自宅1階の居間で横になっていたところ、<顔の近くに息がかかるのを感じて目を開けると、至近距離にクマがいた>というのである。家の中にエサがあることがわかっていて、何度もやってくるのだという(「読売新聞オンライン」7月11日・13日)。

クマが1度、味を占めたものに執着することは、よく指摘されるところである。

筆者は過去に北海道で発生した人喰い熊事件を数多く発掘したが、馬や鹿、人間を襲ったヒグマは、喰い残した死体を埋めたり、ササなどで隠蔽する。そして横取りを警戒して、現場近くに居座ることが多い。

昨今のクマ出没の背景には、過疎化により人間が山から撤退することで、里山に残された柿や栗のような果樹をクマが荒らし、「人間の食べ物の味」を学習してしまったことが挙げられる。

黒い大きな物体にジロリと見られ

本件のクマも、里山から住宅地にまで降りてきて、人家にエサがあることを学習し、付近に居座ってしまった可能性がある。

というのは、実は筆者が住む東京都奥多摩町の自宅にも、過去に2度もクマが出たことがあるのだ。

1度目のクマ出没は、ちょうど「リオデジャネイロ五輪」の頃なので、2016年8月のことであった。

午後8時頃、ウッドデッキの方から「ドスン」という、かなり大きな音がした。

その頃はネコを飼っていたので、また暴れたのだろうと思いながら、一方で、そのわりには、やけに大きな音だったなと疑問を感じつつドアを開けた。

ウッドデッキのはりの上に、なにやら黒い大きな物体がいた。

そいつが筆者のほうをジロリと見た。体長は1メートルほどもあろうか。

頭が混乱したまま3秒ほど眺めていたが、次の瞬間、ほとんど無意識にドアを閉めてカギをかけ、全開だった窓も施錠した。

頭の中は真っ白である。意味もなく室内をウロウロする。映画などでよくあるシーンだが、まさか自分も同じことをするとは思わなかった。