「フーッ、フーッ」と荒い鼻息
2度目の出没は2020年、なぜかこの年も五輪(幻の東京オリンピック)の年であった。
午後7時40分頃。
やはり自宅離れで仕事をしていると、母屋のほうから、例えて言うなら大型家具がひっくり返るような、ものすごい音がした。
驚いてドアを開けると、暗闇の中、ウッドデッキにぶら下げてあったBBQ用の鉄板がガタガタ揺れている。
なにやら動物がいるようだ。またアナグマだろうか(その年の冬によく見かけた)。そう思って、
「コラ!」
怒鳴ると、鉄板の揺れが止まった。
「フーッ、フーッ」
闇の中に、黒いシルエットが浮かび上がった。
4年前に見たやつよりデカイ……あわててドアを施錠した。
あれは間違いなく、やばいヤツだ。こちらに気づいても逃げようともしない。
ドア越しに様子を覗うと、「フーッ、フーッ」と荒い鼻息が聞こえる。ドアの目の前まで来ているのだ。いよいよやばいぞこれは……。
手近のバットを引き寄せて握りしめる(前のことがあったので備えておいた)。
さらに外を覗うと、再び鉄板の油をなめ始めたようだ。ガタガタ音が聞こえる。
こういうときに限ってスマホは母屋である。そこでパソコンに取りすがり、SNSで地元の友人にメッセージを送る(SNSでSOSとは、これいかに⁉)。
すぐに返事が来て、代わりに警察に連絡してもらうことにして、家の中で待機する。
ガタガタは鳴り止まない。
なんとか追い払えないものか……。

