AIで自動照準、ゲーム機のコントローラーで狙撃する「ウォーリー」

ウォーリーは三脚で地面に固定する機関銃で、自動照準機能が付加されている。機関銃からコードが延び、トランクケース状の黒い箱につながれている。ケースにはタブレット画面とボタン類が収納され、さらにプレイステーションのコントローラーが延びる。

タブレットとコントローラーを使って操作し、最大1000メートル先のターゲットを自動的にロックするしくみだ。また、あらかじめプログラムした照準位置へ瞬時に切り替えることも可能で、これによって1台で広範なエリアをカバーできる。

ウォーリーにはAIベースのソフトウェアが搭載されており、監視カメラの物体識別機能に似た技術を使って自動的に標的を追跡し、発砲する。現在は最終的に手動でボタンを押して狙撃を開始する必要があるが、製造元のDevDroid社は、動く標的を追跡して命中させる自動照準機能も開発している。

クロンザック氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、初めてこの銃を見た瞬間から、非常に興味をそそられたと語る。「この戦争に勝つためには、あるいは少なくとも我々の陣地を守るためには、これこそ唯一の方法だと確信したんです」

2.4キロ先からプーチンの軍隊をねらう「死の鎌」

戦闘を自動化する方針は、開戦当初から変わっていない。ウクライナのデジタル改革担当大臣であるミハイロ・フェドロフ氏は2022年3月、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「我々は最大限の自動化を必要としています。こうした技術が、我々の勝利の基礎となるのです」と述べていた。

自動照準機能を備えた機関銃に、さらに自動移動機能を付加したモデルも戦場に投入されている。正式名をShaBlya(シャブラ) 7.62 PKTというが、その効果の高さから「死の鎌」の異名が与えられた。英メトロ紙は今年6月、「最大1.5マイル(約2.4km)先にいるプーチンの軍隊を仕留めることが可能」と報じた。

「死の鎌」は数十センチ四方ほどの小型の金属製の箱をベースにしており、下部には自動走行のための四輪、上部には回転式の台座に乗った機関銃を備える。

メトロ紙によると、ウクライナの3つの部隊に配備されている。ある部隊では実戦において、地下壕でオペレーターがコーヒーを片手に「死の鎌」を使って発砲し、自軍の隊員の安全を確保したという。激戦地となっている別の前線で闘うダ・ヴィンチ・ウルフ大隊も、「死の鎌」が「(ロシア軍の)突撃を阻止し、多くのロシア軍を撃破した」と報告している。