ですが、健康の大切さはわかっていても、行動に移すのは難しいもの。

私がFPとして健康を重視したい人に選択肢のひとつとして提案するのが、保険会社各社が注力している「健康増進型保険」というジャンルの保険です。

「健康増進型保険」の3つのタイプ

健康増進型保険は、保険加入によって健康増進や生活習慣改善につなげられることをコンセプトにした保険のことで、おおまかに分けて

①「喫煙の有無や健康状態で保険料が割引される」
②「健康診断の結果で保険料が割引・還付金が受け取れる」
③「運動習慣など健康への活動で保険料が割引・還付金が受け取れる」

という3つのタイプがあります。

たとえば、SOMPOひまわり生命の「じぶんと家族のお守り」という保険は加入者が亡くなった場合や高度障害状態になった場合に年金が受け取れる収入保障保険ですが、「健康☆チャレンジ!制度」というプログラムが付帯しており、契約から2〜5年目に会社の定めるBMIや血圧などの健康状態をクリアすると、保険料の割引と、契約日にさかのぼって計算した保険料差額相当額が祝い金として受け取れます。

また、住友生命の「Vitality」は、同社の対象商品に付加するオプションのような制度です。年間で行ったウオーキングの歩数や健康診断の数値、生活習慣状況に応じて会員ステータスが決まり、翌年の保険料が増減するというもの。割引を毎年積み重ねていくと、最大で保険料は3割引きになります。

このVitalityの面白い点は、生活を改善できずに既定のポイントが貯められなかった場合、3年目からは保険料が2%ずつ上がっていく点です。

「健康を維持できないと、保険料が値上がりする」という点は大きなデメリットといえますが、自らの努力が保険料の割引やキャッシュバックという形で見える化される仕組みのため、行動心理学の観点から見てもモチベーションを維持し、努力を続けやすい仕組みだといえます。

目先のおトク感だけではなく、Vitality加入者は死亡率が非加入者より約43%低く、入院率も18%低いという数字が出ています。さらに、会員ステータスが最上位のゴールド会員は最下位のブルー会員より死亡率が約77%低く、入院率は50%低いというデータもあります。

「健康はお金で買えない」とはよく言ったものですが、健康に寄与する習慣や環境をお金で整えることはできるかもしれません。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月19日号)の一部を再編集したものです。

(構成=本誌編集部)
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