反対者が現れる際の2つのパターン

そもそも、会議で反対者が現れる際には大きく分けて2つのパターンがあります。

それは「論理的な反対」と「感情的な反発」です。前者は通常の議論の延長線上にあるので特に問題にならないのですが、後者は会議で成果を出すどころではなくなってしまう恐れがあります。

また、厄介なのは万が一「論理的な反対」への対応の仕方を誤ってしまうと「感情的な反発」に移行することもあることです。なので、どちらのパターンにおいても慎重な対応が求められます。

反対者への対応に失敗したケース

ここで、対応に失敗してしまった例を見てみましょう。

ある会社の営業本部の部長が集まって、売上や利益などの管理と報告にかかる作業負荷の削減案について検討しているとします。

【Aさん】
「皆さんもご存じの通り、売上・利益の管理・報告のための作業に時間がかかりすぎて、顧客訪問や提案活動に費やす時間を十分に確保できないという悲鳴が現場からあがっています。昨今の採用難で人員を増やすのが容易ではない中、会社のさらなる成長を実現するために売上・利益の管理・報告の手間を減らす打ち手を策定し、早急に実行に移すことが求められています。ぜひ忌憚きたんのないご意見をいただきたい」

【B さん】
「いや、打ち手以前の問題として、そもそも会社として求める数値が細かすぎるのが問題なのではないですか? たとえば……」

【C さん】
「会社として必要な数値は、過去に十分吟味したうえで設定していますよ。今さらそこを深掘ったところで何も出てきやしませんよ」

【B さん】
「そうですか、では、管理ツールについてはいかがでしょうか? 正直、現場からあがってくるデータのミスで差し戻すケースが多くなっています。管理ツールでの作業に転記と手集計の部分が多いのが原因ではないでしょうか?」

C さん】
「そんなことより、報告会議のほうを優先して対応が必要ですね。報告会議が形骸化しているのではないかという意見が少なくありません。その点についてどう思われますか?」

【B さん】
「この会議、もう抜けていいですか?」

さて、このケースではAさんの問題提起に対してBさん、Cさんが意見を出し合っています。しかし、BさんとCさんのやり取りの末にBさんが「会議を抜ける」と言い出してしまいました。これでは会議で成果を出すどころか、今後Bさんの力が必要なときに協力してもらえなくなってしまうかもしれません。

なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?