そうです。アメリカの企業はお金があるのです。国や国内企業から資金を得ることは「対内直接投資」と呼ばれ、最近も台湾の半導体企業TSMCが熊本に工場を完成させた際、海外からの大規模な投資が起きたというニュースが駆け巡りました。が、実は昨年1年間の日本への投資額は3.3兆円、一方米国の対内直接投資額は、なんと約54兆円と日本の16倍に上るそうです。

米国の株式は、世界の株式の時価総額の44%をしめ、世界中の投資家に取引されています。米国株は暴落が起こっても、真っ先に立ち直ることがよくあります。例えば米国株式市場はコロナ禍による世界的不況の影響を受けて株価を大きく下げたものの、どこの国よりも早く値を戻して史上最高値を更新しているのです。

プロが気になる米国株三大銘柄とは?

米国株のなかで、私が気になる銘柄を、いくつか紹介しておきましょう。

①テスラ(TSLA)

EV業界は冬の真っ只中で株価が低迷するなか、テスラはAI企業としての展開を進めています。将来的に自動運転を可能にする同社のFSD技術は日々進化し、実際に完全自動運転のテスラ車が米国の道を走るのも時間の問題でしょう。利益率の高い自動運転ソフトのサブスクモデル販売で収益増が期待できます。また、8月に発表される予定のロボタクシーと呼ぶ自動運転タクシー事業、人型ロボット「オプティマス」の将来性にも期待できます。

②ボーイング(BA)

今後世界では中間層が増え、旅行者数は増加する見込みです。大型航空機を生産できるのはボーイングとエアバスだけ。ボーイングは737MAX機の事故や、コロナ禍で旅行者が消え航空会社からの注文も止まり、業績は赤字となりました。それがやっと25年には黒字化する見込みで、20年に止めた配当金の復配も来年期待されます。

③ジュミア・テクノロジーズ(JMIA)

ナイジェリアやエジプト、南アフリカといったアフリカ大陸でeコマースを行っている最大手。「新しいアフリカのアマゾン」と米国市場に上場しています。アフリカという13億人が暮らす未知のエリアでのeコマースという挑戦で非常にリスクが高い一方、中間層が増えているアフリカで、長期的に大変なポテンシャルを秘めた企業とも考えています。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月19日号)の一部を再編集したものです。

(構成=福光 恵)
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