氷河期世代の男性はとっくの昔に正社員になっている

さあこれでもう、説明は不要だろう。

「大卒就職でつまずいた氷河期世代は、正社員になれない」などという話がいかに間違っているか、彼らの多くはとっくの昔に正社員となっている。にもかかわらず、永遠にこの世代向けに特別な配慮が重ねられ、多大な国費が投入され続けている。

表中の2013年以降の男性の正社員数・非正規数がほぼ変わらず推移しているのを見れば、この間に行った政策投資がほとんど効果を出していないのがよくわかるだろう。にもかかわらず、2019年以降に「巨大な」氷河期対策が施行されたのは、冒頭書いた通りだ。

氷河期世代の大卒非正規は他世代と比べて最も少ない

ただそれでも、他世代と比べた場合、氷河期世代の男性は非正規就労が多いのではないか、という疑問は残るので、今度はそこを見てみよう。

図表4で、超氷河期より6年前の世代、6年後の世代と比較している。

※図表=筆者作成

非正規就労人数は、前世代28万人、超氷河期31万人、ポスト氷河期28万人で、特に目立つほどの差はない。非正規率は、前世代7.4%、超氷河期7.8%とほぼ同率、後世代が8.6%と頭一つ高くなっている。少なくとも、ここまでは、超氷河期世代のみが不遇とは言えないのが分かるだろう。

これを非大卒/大・院卒と学歴で2分すると、面白いことが分かる。

大卒に関しては、人数・率ともに、超氷河世代が一番、非正規が少なくなっているのだ。前述した通り、超氷河期世代とは、該当年代の大卒時期が「超氷河期」にあたるわけで、だとすると、大卒が一番、割を食うはずなのに、これは見事に外れている。つまり、超氷河期に大学を卒業した世代が非正規雇用を続け、他世代よりも非正規割合が高くなっている、というのは、全く根拠のない話なのだ。