相手の核心をつく質問は3種類ある

核心質問は、売り込み臭を消しつつ、「本当に困っていることは何なのか(真のニーズ)」を実質的に聞いているわけです。真のニーズさえ聞くことができれば、それを解決する当社提案の優先順位がお客様の中で上がります。

核心質問には、「真の課題を理解するための質問」「真の期待を理解するための質問」「真の壁を理解するための質問」の3種類があります。

「真の課題」とは、「お客様が本当に困っていること」です。ここが明確になって初めて、お客様の役に立つ提案ができます。

先ほど出した例は、「困っていることは?」ではなく「むしろ困っていないのでは?」という角度から聞くことによって、お客様が「真の課題」を話しやすい展開を作っていたわけです。

「真の期待」とは、「同業他社がたくさんある中で、わざわざ当社の話を聞こうとしてくれた理由」です。他社の不満をさりげなく聞き出すことで、自社への期待もあぶり出すことができます。

たとえば「今は他社と取引しているから困っていない」と言うお客様がいます。これも「はぐらかしの仮面」です。本当に他社で満たされていて困っていないなら、わざわざ新しい会社と接点を増やす必要はないからです。

“他社への小さな不満”が出てきたらチャンス

そこで、「すでに御社のことを十分に理解されている他社様とお付き合いされているのに、初めての弊社にこうして会っていただけるのは、なぜでしょうか?」のように質問するのです。

今ここで商談の時間をとってくれているからには、当社に対しても「わずかな期待」はあるはずです。核心質問から、他社に対する小さな不満がお客様の口から出てきたらチャンスです。その不満を裏返すと、この場における「真の期待」が見えてきます。そこから深掘りしていけば、当社にも提案機会をいただきやすくなるのです。

「真の壁」とは、「お客様がこれまでも策を打ってきたはずなのに、課題がまだ解決されない理由」です。

ここを探ることで、お客様の課題がまだ解決されていない原因や背景を深く理解できるので、精度の高い提案へとつなげることができます。

言い回しとしては、「これまでも、課題の解決に向けて手を打ってこられていると思うのですが……」というものがあります。お客様が数々の施策を実行しても、なお解決されずに残っているのが、「真の壁」なのです。

「真の課題」「真の期待」「真の壁」を聞き出すための核心質問。私はこれを、別名「困っていないんじゃないですか質問」と呼んでいます。