公約未達成より時代を先んじた女性目線の政策
小池さんの7つの公約について「待機児童」「残業」「満員電車」「ペット殺処分」「都道の無電柱化」「介護離職」「多摩格差」をそれぞれデータで見ると、待機児童は8466人から286人へ大幅減少。残業時間は13.5時間から16.8時間に増加、満員電車は164%から123%に減少、ペット殺処分については、203匹から0匹。都道の無電注化率38%から46%へ。介護離職は7800人から1万4200人に増加。といった具合に7つのゼロ化のうち、達成されているのは、「ペット殺処分」だけであり、公約はクリアされていないが、多くの女性にとって共感できる政策を打ち上げた小池さんを信頼しているようだ。
不妊治療の先進医療や卵子凍結への支援、妊娠・出産・育児への切れ目のない支援、特に家事支援サービスやベビーシッターサービスの拡充といったこれまでの政策に加え、月5000円の児童手当などの子育て世帯への経済的支援や私立高校授業料の実質無料化といったものである。
私は議員(参議院)に当選して初めての厚生労働委員会で、「日本にはなぜ乳児用液体ミルクがないのか」という質問をした。その後、小池さんが会長となる乳児用液体ミルクの勉強会ができたのだが、その勉強会は主に衆議院議員のメンバーで構成されており、私は参加できなかった。ところが後日、「乳児用液体ミルクの必要性を初めて国会で取り上げたのは大沼みずほさんだから彼女もこの勉強会に入れてあげて」と事務局スタッフが小池さんから言われ、次回以降は参加ができるようになった。 そしてその勉強会のおかげで、自身が厚生労働大臣政務官時代の2018年に日本で初めての乳児用液体ミルクの製造解禁を実現できた。
私はそのことを恩に着ているわけではない。実は、自民党でも野党でも、女性が子育てしながら働きやすい環境の整備について一生懸命な議員ばかりではない。むしろ男性議員顔負けの業界団体のための仕事だけをがんばる“マッチョ”な女性議員も多く、彼女たちはこういった課題に関心がない。女性議員が女性議員にやさしいわけではない。もし女性議員が増えれば、自分の優位性が崩れてしまうことを恐れている人もいる。
それに比べると、小池さんは一貫して、女性が活躍できる社会が日本をよりよく成長させ、発展させるという信念を持っていた。そのため、女性の管理職の割合を高めようとか女性議員を増やそうとかそういった政策に熱心に取り組んだ。都知事になってからも、それを実践しているからこそ、女性の支持者が多いという結果につながっているのだろう。