日本社会における女性の学歴の価値
「女性に学は必要ない」という理由で大学進学させないという親は今もいる。東大では、他大学の女子学生は入れるのに、東大女子の入れないサークルがいまだに存在し、東大や早慶出身だと「結婚相手の幅が狭められる」と言われる。
結婚した女性たちは高学歴の旦那を持つママたちの会では、こちらから聞いていないのに「うちの主人は慶應出身で、商社に勤めている」とか「うちのパパは東大出たけど、その後起業して」といった旦那の学歴を使ってのマウンティングが盛んに行われているとも聞く。一方、ママ友会では、自分の学歴を言ったり、相手に聞いたりしてはいけないという暗黙のルールがある。学歴は女性にとってタブーなのだ。そのため小池さんの「カイロ大学を卒業しているかどうか」問題にも無関心になるのも必然なのかもしれない。
女性国会議員の肩書は学歴より職歴
では、政治家にとっての学歴はどうか。衆議院で男性国会議員は9割を占めるが、その内訳は東大出身者が最多で、早稲田、慶應と続く。一方で、女性国会議員で、東大出身者としては上川陽子外務大臣や片山さつきさんなどが知られているが、少数派だ。
それよりも「世襲、キャスター、タレント」といった肩書のほうが強い。世襲議員としては、小渕優子さん、野田聖子さん、加藤あゆ子さん。キャスターとしては小池百合子さん、高市早苗さん。タレントとしては、三原じゅん子さん、今井絵理子さん……。学歴よりも出自や職歴が大事なのだ。女性議員は女性議員の学歴を知らないケースも多い。
小池さんの学歴問題が話題になるのも、彼女が都知事に出て以降であり、国会議員時代にはこうした話が出なかった。一方、男性国会議員に対しては、マスコミも「東大出身の総理は○年ぶり」といったフレーズを好み、岸田文雄総理就任時も、「開成高校を出て、東大受験に失敗して3年間の浪人生活をへて早稲田大学入学」、菅義偉前総理も「集団就職で上京し、法政大学の夜間で学位を取った苦労人」とかいった話題に事欠かない。そもそも内閣に入る際、最終学歴を紙面に掲載する必要があるのか疑問だが、そこにも如実に男性社会での学歴主義が表れているといえよう。