「においが出ないとんこつラーメン」を開発
幸ちゃんラーメンを作ったのは2020年、コロナの真っ最中でした。
幸ちゃんラーメンは「毎日でも食べられる生活に溶け込んだラーメン」。味は私が幼稚園の時に初めて食べたラーメンを思い出しながら開発しました。
あの頃、町の店で出していた、とんこつスープは一晩中、炊いて作るにおいの強いものではありませんでした。町の店ではそんな手間はかけられません。
幸ちゃんラーメンも豚骨は使います。ただし、骨の量は博多一幸舎の3分の1くらいの量にして、寸胴鍋に決められた水の量を加えて、決まった時間の間、炊くだけ。新しい店のスープを作る時でも、片付けまで入れて9時間で完成します。
だからといって味が劣るわけではありません。レシピを工夫して、においが出ないようにしました。そして、一回、レシピを教えたら、誰でもスープを炊くことができるようになってます。ガス代がかからない、大きな調理スペースが要らないところが大きなポイントです。
それならフランチャイズでも店を出していくことができます。やっぱり、僕は「非とんこつ」より、とんこつスープのラーメンを出していきたい。
博多一幸舎と幸ちゃんラーメンの両方を食べた人の感想は分かれますね。スープの作り方が違うから、一幸舎に比べて幸ちゃんはライトな味わいになります。だから「本格的な一幸舎の味が好きだ」という人もいれば「幸ちゃんなら一日に二度は食べられる」という人もいる。実際、博多ではラーメンをおやつ代わりに食べるから、二度、やって来る人もいるんです。
1杯750円+替玉でリピート率を上げる
一幸舎と幸ちゃんの量は同じですが、値段は1杯950円の一幸舎に対し、幸ちゃんは750円と安くしています。安いからリピート率が高い。今はまだ一幸舎の売り上げが大きいですが、いずれはそれも追い抜くでしょう。値段は店舗によって異なっています。博多一幸舎は800円~950円、幸ちゃんは750円~900円。
麺は一幸舎は平打ち麺で、幸ちゃんは断面が四角い麺。博多のラーメンはスープの持ち上げがいいように、とんこつスープの場合は細めの平打ち麺が多い。幸ちゃんは「町とんこつ」ですから、町のラーメン屋さんが使う四角い麺にしています。
麺はどちらも製麺屋慶史、弊社のグループです。製麺屋を持っているラーメンチェーンはありますが、外注まで受けているのはうちくらいですよ。
麺のことは社長の一松(竜太)が話します。
【一松】慶史では今、350社くらいに麺を卸しています。ラーメン店だけでなく町中華、居酒屋にも持っていきます。通常は100~200玉からオリジナルの麺を制作するところを、うちは30玉からオーダーを受けます。
うちは個人のお客さんもいて、毎週、30玉買って自宅で食べたり、近所に配ったりしているらしいです。グループと外販の割合は3対7。外販のほうが多いですね。だいたい、毎日、100種類から150種類のオリジナル麺を作ってます。それは大変ですよ。大変だから誰もやらない。ライバルは入ってこないと思います。