今のマスコミに「金権政治の膿を出そう」という志はない
私も、時々民放に呼ばれてスタジオで生出演したり、VTR出演したりしていますが、いまや民放もNHKに負けないくらい政権に忖度しているように感じます。かつては政権に対して物を申していたテレビ朝日やTBSまでもが同様です。
たとえば、今般の自民党派閥の裏金問題についてもマスコミは大騒ぎしていたけれど、報じ方があまりに表層的でした。政府が騒動の幕引きを図ろうとした政治倫理審査会(政倫審)なんて、やるだけ無駄で無意味、そもそも偽証罪に問われない以上、非公開を公開にしたところで真実なんて出てくるはずがないのですが、そうした本質が報じられることはほとんどありませんでした。
多くの大マスコミには、本気で市民の怒りに寄り添い、金権政治の膿を出そうというような志はなく、私みたいな人間は単にガス抜きとして使われているのかな、と感じることがしばしばあります。
「ぬるすぎる報道」が続くワケ
その後の、政治資金規正法の改正案も同様でした。結局、「議員本人の確認書作成を義務づける」と、口では“いわゆる連座制のようなもの”と言いながら、イギリスの公職選挙法などで定められた議員の責任が厳しく問われて失職する本当の連座制とは程遠い文言を付け加えただけでした。
肝心の企業や団体からの献金の禁止などに関しては何も手つかずの、見事にしょぼい改正案でしたが、マスコミは、公明党からも厳しく突き上げられて岸田首相がようやく動いた、というような筋書きで報じるだけです。
目線が決定的に市民のほうを向いていないのですから、市民の実感、市民の怒りの強さをまったく認識できず、ぬるすぎる報道になっている。そのことを象徴的に示していたのが、埼玉県議会で可決成立しかけていた児童の「虐待禁止条例」の改正案に対する大手マスコミの報道だったといえるでしょう。