新聞の部数が右肩下がりを続けている。このまま新聞は消滅してしまうのだろうか。元毎日新聞記者でノンフィクションライターの石戸諭さんは「朝日新聞が自民党の裏金問題でスクープを連発しているが、朝日のスクープだったことを即答できる人はメディア関係者でも少ない。全国紙が力を取り戻すには、記事の価値を伝える工夫を、週刊誌などから学ぶ必要がある」という――。
衆院政治倫理審査会で挙手する西村康稔前経済産業相=2024年3月1日、国会内[代表撮影]
写真=時事通信フォト
衆院政治倫理審査会で挙手する西村康稔前経済産業相=2024年3月1日、国会内[代表撮影]

どうすれば全国紙は力を取り戻せるのか

ここ最近、興味本位で仕事仲間に「自民党裏金問題で圧倒的な特ダネを連発したのはどこでしょうか?」という質問をしていた。広い意味でマスメディア業界にいる人々が多いのだが、朝日新聞という正解は新聞業界にいる人々かよほどニュースに詳しい人からでないと出てこない。松本人志報道といえば「文春」がなかば“社会常識”となっているのと比べればなんとも悲しいことだ。

私がプレジデント・オンラインに寄稿した記事の中で、これまではマスメディア業界の「異端」の俗物主義だった週刊誌報道が力を持ち、「王道」だった新聞が凋落している現実を考察し、今までのマスメディアの常識が崩れている現実を論じた。そのなかで私はバランスを立て直すために「王道」のメディアが価値観を変えて、より強い報道を繰り出すことだと思う」と記している。

この間の報道を読み解き、「文春が強いのではなく、新聞が役割を果たしていないだけだ」といった「評論」をよく聞くようになった。私はこの手の論調に半分は同意するが、半分は批判的だ。