政治家と寿司を食べて取材した気になっている

記者たちには、政治家の誰と人脈があるとか、官僚とのパイプがあるとか、そういった関係性で社内での自分のポジションを誇示しているような印象しかありません。

それなのに、テレビ局や新聞社で一番でかい顔をしているのは政治部。自分たちが時の権力に一番近いところにいると思い込んで、社内を仕切っている。取材と言ったって、政治家と会って一緒に寿司など食べつつ得た情報を垂れ流すだけ。

黒い背景にサーモン寿司
写真=iStock.com/ASMR
※写真はイメージです
泉房穂『さらば! 忖度社会 崖っぷちニッポン改造論』(宝島社)
泉房穂『さらば! 忖度社会 崖っぷちニッポン改造論』(宝島社)

自分たちが既得権益化しているという自覚なきまま、自分は偉いと錯覚しているのが政治部ではないでしょうか。かなり情けない状況です。こんな政治部、なくなったって市民は誰も困りません。

もちろん、政治家を取材する記者は必要ですが、その前提として、まずは市民の声をきちんと拾うべきです。その意味では、常に市民を取材している社会部記者たちが、現場で見聞きした市民の実態・実感を政治家にぶつけて、彼らの見解を引き出すのもいいと思います。政治家の周囲を四六時中ウロチョロして、一緒に寿司なんか食う必要はどこにもないでしょう。緊張感を持って、政治家と対峙してほしいと思います。

厳しいことを言いましたが、大手マスコミのみなさんには、記者クラブと政治部を解体するくらいの気概を持って、自らを既得権益化することなく、市民の生活に寄り添った報道をしてほしいと心から願っています。

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