サピックス偏差値50の学校は、地方トップ校とほぼ同レベル

では、サピックスでいう偏差値50レベルの学校とは、どんな学校なのか? 私立中高一貫校は、学校ごとにそれぞれの教育理念があり、校風もカリキュラムの中身もさまざまだ。そこで、ここでは学力の面だけで見ていく。一番分かりやすいのが、東大に何人合格者を出したかという進学実績だ。各校のHPには必ず進学実績が紹介されているので、まずはそこを見てほしい。

全体のレベル感を知りたければ、毎年各メディアが出している高校別東大合格ランキングを見るといい。上位を占めるのは御三家と呼ばれている最難関校や、日比谷高校や横浜翠嵐高校といった伝統公立校だが、それより下になると地方のトップ校でさえも5人以下になる。そして、同じ5人以下の欄に、中学受験では偏差値50(サピックス)の私立中高一貫校が並んでいる。つまり、クラスで1人いけるかいけないかレベルの地方トップ校と、中学受験で偏差値50の私立中高一貫校は、ほぼ同レベルなのだ。

もちろん、頭では偏差値が示す数字がどういうものかは理解できているはずだ。だけど、長年染み込まれてきた「偏差値50」という数字が持つイメージに引っ張られて、素直に認められないのだ。

中学には「同じくらいのレベルの子」が集まる」

100歩譲って認めたとしても、自分の成功体験や、偏差値や成績順が持つイメージというのは、なかなか更新できない。

「中学受験と高校受験とでは偏差値は別物」と理解した上で、子供の実力にあった偏差値50前後の学校に進学したとする。中学受験はわずか1点の差で合否が決まる過酷な受験だ。合格できたとしても、ほとんどの子がギリギリの状態で滑り込んでいる。そうして中学には、偏差値帯で輪切りにされた同じくらいのレベルの子たちが集まる。

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しかし、中学に入れば入ったで、学期ごとに成績が出る。最難関が不合格で、唯一受かった安全校にやむを得ず進学したという場合は、もともとのレベルが高いため上位に入る可能性も高いが、妥当レベルで入った場合、入学後の成績がどの位置になるかは予想がつきにくい。とりあえず初めは、真ん中くらいをキープできればいいというのが私の考えだ。

小学校と中学校では勉強の中身が大きく変わるし、受験とは違う「定期テスト」というものがある。新しい学習スタイルに慣れるまでには、少し時間が必要だ。最初のテストで思うような結果が出せなかったら、何をすれば良かったのか、どういう勉強のやり方に変えていけばよかったのかじっくり考えてみる。そうやって自分なりに試行錯誤することが大切だと感じている。