コスパ優等生のシャオミだからか、SU7に寄せられた多くの消費者からの期待はコスパだった。販売価格が9.9万元や14.9万元、19.9万元と推測する人は多かったようだ。蓋を開けてみれば、シャオミが20万元からの中高価格帯を狙っていることが明らかになった。EV業界の価格競争が激化している中、シャオミはコスパの優等生から脱皮を図ろうとしているが、消費者に対して価格以上に優れたクルマへの認知を高める必要がある。
シャオミに勝算はあるのか
次に、SU7の供給力である。北京の郊外に位置するSU7の工場は2期に分けて建設を急いでいる。1期目は2023年6月に完成され、年間15万台が生産できる。2期目は現在建設中であり、来年中に完成する予定だという。工場建設に関しては北京市政府から全面支援があるものの、その稼働能力が受注に追いつかない可能性は否定できない。納期の長期化が消費者の信頼にダメージを与える可能性も出てくるだろう。
最後に、PHV(プラグインハイブリッド車)からの衝撃に対する忍耐力である。EV大手のBYDが5月末に過去最高の燃費性能を実現したPHV技術を公表し、波紋を呼んでいる。EVの拡大基調のトレンドが変わらないものの、PHVの人気も高い。シャオミだけではないが、すべてのEVメーカーにとってはPHVによるシェアの奪い合いの圧力が高まっている。
シャオミの優位性と強みは世界3位のスマホメーカーとして擁する膨大なユーザー基盤、ブランド力および販売網である。これらの武器を活かし、中高価格帯に代表されるクルマをより多くの消費者に受け入れられれば、EV市場で勝機を掴める可能性も十分高いだろう。
シャオミは自社が掲げた「世界の上位5位に入る自動車メーカー」へまい進できるか、EV競争の厳しい試練を乗り越えられるか、今後も注視したい。