中国格安スマホ・家電メーカーのシャオミ(小米、Xiaomi)が3月末、同社初のEV「SU7」の販売を始めた。予約開始から27分で5万台の予約があった。なぜシャオミのEVは中国人に支持されているのか。伊藤忠総研主任研究員・趙瑋琳さんは「CEOのカリスマ性、強力なエコシステム、膨大なユーザー基盤とファンの存在という3つの理由がある。例えばシャオミのファンコミュニティは、6億人超のアクティブユーザーを抱えている。彼らの熱狂的な支持がEV人気の原動力になっている」という――。
2024年4月25日、北京で開催された北京モーターショーで展示された電気自動車「シャオミSU7」モデル。
写真=AFP/時事通信フォト
2024年4月25日、北京で開催された北京モーターショーで展示された電気自動車「シャオミSU7」モデル。

27分で5万台、24時間で8.9万台が売れた「SU7」

格安スマホメーカーとして知られるシャオミ(小米)の初のEVセダン「SU7」が好調だ。3月28日の販売初日、予約開始後わずか27分で予定台数の5万台、24時間で8.9万台の予約が入った。鮮烈なデビューを飾った。

その後の販売・生産も順調に推移している。6月1日に深センで開催された「2024年未来汽車先行者大会」で、創業者の雷軍会長兼CEOは「5月末時点までに8万台超の受注を獲得し、既に約1万5000台を納車している。6月から月1万台の生産を実現し、2024年は10万台の納車を目指している」と明らかにした。また、「女性消費者による注文が全体の3割強で今後さらに上昇」と言及し、女性にも人気のあるクルマと説明した。

「SU7」は、米テスラのセダン「モデル3」を手本にして開発された。雷軍氏は3月28日に北京で開いた新車発表会で、モデル3などと比較し、電力消費や自動運転技術を除くほぼすべての性能でSU7が上回ると力説している。

基本モデルの販売価格は21万5900元(約467万円、6月12日現在のレートで算出)で、テスラ・モデル3の24万5900元(約532万円)より安い。標準モデルのフル充電時の航続距離は、中国独自のCLTCモードで約700kmとなる。

また、「SU7」の最上位モデル「SU7 MAX」は、航続距離が800km。販売価格は29万9900元(約649万円)で、雷軍氏は独ポルシェのEVスポーツカー「タイカン」より航続距離が長いと性能をアピールしている。

シャオミは、2010年創業。日本では「スマホメーカー」として知られているが、炊飯器やロボット掃除機、空気清浄機などの生活家電も手掛けてきた。中国には、それらすべてをシャオミ製品でそろえる熱狂的なファン(ミーファン:米粉)がいる。なぜシャオミは中国の人たちに支持されるのだろうか。