この会社を事業開発会社にしようと思ってから、組織を機能別から事業部別にし、組織内でいろんな事業をつくり上げることができるようにしました。それと同時に、たとえば社内で事業コンテストを行って実際に事業化したり、他社と合弁会社をつくったり、さらに社員が「これをやってみたい」と直談判があったものにゴーサインを出したりするといったこともやりました。事業部内で水面下でサービスを始めることも許容しました。何でもかんでも全部役員決裁が必要だと、タイムリーでいいものが生まれないと思ったからです。
もちろん、うまくいかないものもあります。でも、ある程度までは見て見ぬふりをしたり、許容します。基本的には会社が成長していれば、欠点が覆い隠され、逆に会社が停滞し始めると、それまでの膿が一気に出てくる。ですから、「成長」のためにいかにして事業を伸ばしていくか、というところに注力したいというわけです。結局のところ、自分の失敗で強く記憶に残っているものって、「これがうまくいかなかった」という類ではない。「なぜあのタイミングであの事業にもっと力を入れなかったのか」という“やらなかった失敗”のほうなんですよね。
会社の成長とは、すなわち事業の成長にあり、事業の成長とは個人の成長だと考えています。個人が成長しなくても事業を成長させるやり方はあると思うのですが、そうはしたくない。それで、当社は採用から成長意欲が高い人を採ることを意識していますし、その後も成長する機会をどんどん提供しています。研修制度も本人が望めば外部のものでも受けさせますし、新規事業でも若手を抜擢しています。挑戦しやすい雰囲気づくりを心がけていきたいですね。
宇佐美進典
1972年生まれ。愛知県出身。早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティングを経て、99年に創業。