ツイッターは、共感が共感を呼ぶメディアだ。投稿された「ツイート(つぶやき)」のなかでも、面白いものは「リツイート(引用)」されて、一瞬で広がっていく。著名人の動向やニュースの真相、サービスの評判など、あらゆる情報が「面白さ」を基準に行き交う。そんな特性を持つメディアなら、ECナビのカルチャーに合ったいい人材が集められるかもしれない。「ツイッター採用」を始めた理由もそこにあった。
2009年までは、他社と同じように就職情報サイトが採用の中心だった。しかし、サイト経由だと応募数は集まるが、就職への熱意に欠ける学生も少なくない。大企業にはできない方法でアプローチしなければ欲しい人材は確保できない。戦争にたとえるならば、「ゲリラ戦」で挑まなければ勝てない、と知った。
10年1月、ツイッターで学生向けの勉強会を告知したところ、予想以上に「欲しい」と思わせる人たちが集まってくれた。手応えを感じて、すぐに「今年の新卒採用は10人以上のフォロワー(購読者)がいる方を対象にします」とつぶやいたところ、わずか3日ほどで約100人の応募があり、慌てて打ち切った。最終的に2人に内定を出し、うち1人がアルバイトとして働いている。年間10人前後の採用を計画しているため、現時点でのツイッター採用はあくまで「プラスアルファ」だが、非常に満足のいく結果が得られた。
採用のとき、私のところには学生からの質問が次々と寄せられた。シビアな質問もあったが、可能な限り即答するようにした。140字までの字数制限が読み書きのハードルを下げているようで、ほかのメディアに比べると、レスポンスの速さと量は圧倒的なものがある。私のアカウントには9500人のフォロワーがいる。顧客などとダイレクトにやり取りできるのは、ほかにはない魅力だ。
取っ付きづらい面はある。私自身、本格的に始めたのは半年前からで、登録から1年以上は何が面白いのかわからなかった。だが、本当に価値のないサービスなのか腹落ちするまで試してみた。まずは友人や気になる著名人をどんどんフォローしてみることを勧める。企業活動で使うとしても、難しく考えず気楽に始めることが、使いこなすコツだろう。