挨拶状などの書面だけで大きな取引がまとまることは、まずないといってよいでしょう。しかし営業としてのきっかけをつかむ役目は十分果たせます。

購買という仕事柄、ご挨拶をメールで受けることはよくあります。その中で、この人なら会ってみたい、話が聞きたいと思うのは、当社とビジネスをしたい、前向きな関係を築きたいという積極性と誠意が感じられる文面です。

目先の契約だけでなく、地に足のついた長期的なパートナーシップを望んでいることなども好印象を与えます。それにプラスして、取引先からみた顧客の最近の動向に目を配り、ニーズを先読みした提案が織り込まれていれば、なおいっそう積極性を伝えることができます。

挨拶メールの目的は企業同士のお付き合いですから、個人的な事項や時候の挨拶は簡略でかまいません。メールの目的や、次回のアクションに触れることのほうが重要です。

訪問日時の打診、同行者がいる場合は、その旨を知らせる。受け手側からすると、同行者の部署や肩書が前もってわかれば、相手がどんなレベルの商談をしたいのかを察知できますし、自社で誰を同席させればよいのかも想像がつきます。出会いをビジネスにつなげようという姿勢になりますね。

そうはいっても、冗長な書面に目を通すのは大変です。2次的な内容は添付ファイルやリンクを活用し、要旨は一画面で見渡せるよう、コンパクトにまとめてあると好感がもてます。

さらに重要なことは、面談の前の挨拶だけでなく、後のフォローもしっかりすることです。面談までたどり着いたものの、その後にフォローがないケースを時々みかけますが、仕事はそこからが本番です。面談のあとに、その日の打ち合わせ内容を要約し、お互いの宿題を明記したメモをメールしていただけると、非常に効果的なフォローになります。

挨拶状がきっかけであるとすると、クロージングに必要なのはフォローになる事後のメールです。上手な文章より、まずマメに「書く」ことによって、コミュニケーションを取り合うことが、より強い関係を築くためのいちばんの秘訣だと思います。