魔法のことば「お気に障ったら、すみません」

小さな子を連れているとき、周りから白い目で見られるときがある。ときには、きつい一言を言われることも。そんなときの対処法を知っていると、子育ても少し楽になる。

あるとき、バリバリのワーキング・ママから、こんな質問を受けた。

「先日、2歳の息子の具合が悪かったので、小児科に行って、帰りに調剤薬局に寄ったんです。子どもの薬は調剤に時間がかかるので、通常はいったん家に帰って取りに戻るのですが、その日は、午後から会議があって急いでいたので、椅子に座って待つことに……。そうしたら、よほどだるかったのか息子が急に抱きついてきました。そのとき、向かいのソファに座っていた年配の女性が、『靴、履いたまま!』と吐き捨てるように言ったんです。

たしかに私たちが悪いので、『すみません』と謝ったのですが、靴がソファに当たっていたわけでもないし、隣席に人がいたわけでもない。実害というより、躾という意味でおっしゃったんでしょうけれど、この状況で、そこまで言われる? と感じて、気持ちがふさいでしまって。今も、思い出すとどうにも気持ちがもやもやして、子育てがつらく感じてしまいます。このもやもや、どう処理すればいいですか?」

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私はこう答えた。「なぜ、もやもやしているかというと、あなたが守ってあげたかったのは、息子さんの気持ちだからよ。病気の息子に、肩身の狭い思いをさせたのが悲しかったのよね。こういうとき、彼に肩身の狭い思いをさせない魔法のことばがある。『お気に障ったら、すみません』――これ、けっこう便利よ。

目は申し訳なさそうに、口元はやや微笑みながら『お気に障ったら、すみません』と謝ると、なぜか向こうも険のある顔が緩んで、子育て経験のあるマダムなら『いいのよ、まだ小さいものね』なんて言ってくれる。子どもの行動に謝るんじゃなくて、相手の気持ちに謝るだけだから、こっちももやもやしないで済むしね」