子どもをしつけるには、どうすればいいのか。水泳の池江璃花子選手の母親で、東京経営短期大学特別講師の池江美由紀さんは「子どもを叱れなかったり、ただただ厳しく接したりするのは、親自身がしつけの苦痛から逃れたいから。親が毅然とした態度を取れないと、子どもはどんどん聞き分けがなくなっていく」という――。

※本稿は、池江美由紀『子どもの心と才能が育つ【池江式】魔法の言葉』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

競泳女子100m自由形決勝を制し、喜ぶ池江璃花子選手=2022年8月31日、東京辰巳国際水泳場
写真=時事通信フォト
競泳女子100m自由形決勝を制し、喜ぶ池江璃花子選手=2022年8月31日、東京辰巳国際水泳場

子どもの人間教育は親の責任

人間は、ただ生まれてきただけでは人間になれません。人間としての教育を施されるから、人間になれるのです。

では、誰が教育を施すのでしょうか。

幼稚園・保育園や学校の先生?

いえいえ、入園・入学するまでに何年もかかります。その間、教育しなくていいわけではありません。

幼児教室の先生? たしかに、うちの教室では0歳児から受け入れています。でも、幼児教室でレッスンを受けるのは、1週間に1〜2時間程度。そのほかの大半の時間を子どもと一緒に過ごすのは親です。

親が、家庭で子どもを教育すること。それが人間教育の出発点です。

あらゆることを最も吸収できるのが乳幼児期です。この大事な時期に、人間としての基本、社会で生きていくときの原則を、しっかり身につけておきたいものです。

しつけで楽をしてはいけない

子どもをしつけるには、大きなエネルギーが必要です。面倒で、大変で、忍耐が不可欠です。

また、最近はそれぞれの個性を重視したり、自由に振る舞うことを良しとする風潮があります。我が子の個性を認めてやりたい、自由を尊重してやりたい……。

個性や自由は大切です。でも、そのことと、子どもに自分のしたいことを優先させがまんを教えないことは別です。この社会は、何でも自分の思うとおりに動くわけではありません。

親がしつけをおろそかにして、子どもの言いなりになってしまうと、その子が大人になったとき、自分で自分を律することができなかったり、社会的なルールを守れなかったりして、子ども自身がとても苦労します。

親がしつけで楽をすると、そのツケは、将来子どもが支払うことになるのです。