検査が推奨されているのは「HIV・梅毒の検査」など
例えば、前述の文部科学省通知では「特に留意が必要」なものとして「脊柱の疾病」「胸郭の疾病」「皮膚疾患」「心臓の疾病」をあげています。
ただ、USPSTFはこれらの検査を支持していません。
USPSTFが「小児(Pediatric)」または「思春期(Adolescent)」に対して検討している検査は55件。
そのうち一斉検査に対して最高ランクの「A」がついているもの(つまり、検査するよう推奨しているもの)は、HIV・梅毒の検査と、対象者が妊娠している場合に限って血液型不適合とB型肝炎ウイルスの検査だけです。
次の「B」ランクも検査推奨ですが、これにあたるのは「不安」、「うつ病」、「クラミジア」、「淋菌」、「B型肝炎ウイルス」、「親密なパートナーによる暴力」、「弱視(3歳から5歳のうちに1回以上)」、「肥満」です(妊娠している対象者についての推奨、18歳以上についての推奨を省きます)。
「5歳未満の虫歯検査」はすべきでない
その他の検査は、「C」(個人ごとのリスクを判断して検査の有無を考える)、「D」(検査をしないよう推奨する)、「I」(エビデンス不十分で分類できない)のいずれかです。
たとえば5歳未満に対する「虫歯の検査」は「I」ランク。エビデンスがないため検査すべきでないということです(こう言うと「データがなくても明らかに必要」と言う人が出てくるのですが、どうせすぐ抜ける乳歯の検査の目的はなんなのでしょう。歯磨きで虫歯を減らせるというエビデンスはありません)。
もちろんアメリカの状況と日本の状況は異なるため、アメリカの基準が日本でそのまま当てはまるわけではありません。
HIVの広がりに対する危機感は日本とアメリカでかなり差があります。肥満についても同様です。