「健康診断のおかげで助かった」かはわからない

私がこう説明すると、反論されることもあります。

「健康診断で重い病気が見つかり、助かった人を知っている」、さらには「私自身がそうだ」と言われることもあります。

でもそうした例が本当に「健康診断のおかげで助かった」のかどうか、科学的に判定するのは困難というか、不可能です。

健康診断をしなくても、そのうち自覚症状が出て、自分で診察を受けていたかもしれません。あるいは発見が早かろうが遅かろうが、治療の結果にはあまり関係がなかったかもしれません。

また、積極的に治療しなくても、特段困ったことにならないような病気だったのかもしれないのです。

もし健康診断がなければどうなったか、過去に戻って試すことはできませんから、個別の例についてはなんとも判断できないのです。

アメリカの基準なら「日本の学校健診は過剰」

健康診断に意味があったかどうか、健康診断をするグループとしないグループを追跡した試験がたくさん行われています。

そうした試験結果をまとめる専門家団体の米国予防医学作業部会(USPSTF)が、どんな診察なら適切かをまとめています。

結論から言いますと、USPSTFを基準にすると、日本で行われている学校健診は大幅に過剰です。

日本の学校健診は過剰
写真=iStock.com/takasuu
日本の学校健診は過剰(※写真はイメージです)