日本の学校健診にはエビデンスがない

日本では、「学校保健安全法施行規則」において学校健診の内容が決められています。

一 身長及び体重
二 栄養状態
三 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態
四 視力及び聴力
五 眼の疾病及び異常の有無
六 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
八 結核の有無
九 心臓の疾病及び異常の有無
十 尿
十一 その他の疾病及び異常の有無

一見して、USPSTFの推奨とほとんど一致していないことがわかると思います。

「脊柱及び胸郭の疾病」に含まれる側弯症はUSPSTFでは「I」ランク、つまり検査が有効であるというエビデンスがないと判定されています。

もちろんなんでもアメリカに合わせるのがいいわけではありません。

ただ、USPSTFは詳細なデータを公表していますが、日本の学校保健安全法施行規則にはなんのエビデンスも添えられていません。

古い時代の健診がズルズル続いているだけ

ちなみに、前述の文科省通知で参照している「児童生徒等の健康診断マニュアル」には引用文献がひとつも挙げられていません。

なぜ日本の学校健診はこんな残念なことになっているのでしょう。

その理由は、リストに「結核」があることから察せられます。

このリストの原型ができたのは1958年。

要するに、データに基づいて健診の「利益」と「害」をちゃんと評価するという思想がまだなかったころに学校健診のやりかたを細かく決めたまま、検証されることもなくズルズル続いているのです。

古い時代の健診がズルズル続いているだけ
写真=iStock.com/Hailshadow
古い時代の健診がズルズル続いているだけ(※写真はイメージです)