問題山積の日本

経済が成長しないことも大きな問題ですが、この国には大きな課題が山積しています。

まずは人口問題です。現在、約1億2400万人の人口ですが、言うまでもなくこの国は、急激な人口減少に直面しています。

その大きな原因が少子化です。女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率はとうとう過去最低の1.20まで低下しました。人口が均衡するのが先進国では2.07人と言われています。日本では昨年生まれた子供は約72万人で、団塊の世代の約270万人の4分の1近く、その子供たちの団塊ジュニアの209万人の3分の1近く。愕然とするほどの減り方で、しかも今後さらに減ることは確実です。

逆に上昇するのは現状29%程度の高齢化率です。将来は40%以上に達すると予想されています。社会保障制度が、「世代間扶助」という現役世代が高齢者を支えるという美名のもと、実際は自転車操業を続けています。このままでは、社会保障制度が行き詰まる、少なくとも現状の水準を維持するのは不可能だと考えられます。

現状、一般会計から、年金、医療・介護の特別会計に、それぞれ10兆円以上の予算が割り当てられている、つまり一般会計から特別会計に補助していて、やっと年金や医療・介護の制度が成り立っているのですが、高齢化率が増加するため、その負担額は格段に上がります。

年金は、高い確率で現在の40歳台の方たちから支給開始を2~3年遅らせることとなるでしょう。それでも制度がもつだけまだましで、医療・介護は「病気になったから2年待ってほしい」というわけにはいきませんから、その水準を下げる必要が出てくるでしょう。

さらには、社会保障負担が格段に増加することもほぼ確実です。そしてこのことと大きく関係して、財政赤字はもっと膨れ上がります。名目国内総生産比で250%という、先進国中最悪の財政赤字を抱えていますが、その数字は悪化の一途をたどることとなります。

現状は、国債の9割程度を日銀はじめ、国内勢が消化していますが、海外にも国債を買ってもらう必要が出てくると、今の金利での消化はほぼ不可能です。AAAの最高の格付けを有する米国債やドイツ国債よりも低い金利で国債を発行できているのは、「国内ルール」で国債を販売できているからで、それができなくなると、国際水準での金利が必要になります。A+という上から5番目の格付けでは、数%国債金利が上がるのは避けられないでしょう。

政治の感覚と国民感覚な大きなずれ

このように、問題山積の日本で、これを政治は解決しなければならないのですが、残念ながら、政治は経済にかまっていられないような状況が続いています。

最近では、自民党のパーティー券裏金問題に端を発した政治資金規正法の改正に大きな時間を取られていますが、国民をバカにするのもいい加減にしろと思っておられる方も少なくないと思います。

写真提供=共同通信社
自民党細田派(現安倍派)の政治資金パーティー=2018年5月、東京都内のホテル

そのことに関して少し説明すると、与党の内部でも、パーティー券購入者の開示に関して「10万円以上」「5万円以上」で自民党と公明党がもめました。企業は1円単位で売上高を計上しています。小売業でない限りは取引先も記帳していますし、税務調査ではすべて調査対象です。面倒くさいインボイス対応も、岸田首相肝いりの定額減税も、その煩雑な処理・対応を政府は企業に丸投げです。厳密が必要な企業の現場を消耗させる一方、自分たちは“ザル”も同然というわけです。

国民から選ばれて、税金を給与としてもらっている国会議員がどういう神経でこういうあいまいな開示の内容となったのでしょうか。企業も10万円か5万円以下の収入なら適当に記載し、インボイス対応も、ふざけた減税処理も適当にやっておけばいいということではないはずです。これでは、政治や政権に対する不信が広がるだけです。

政治にお金がかかるというのなら、それを正々堂々と主張し、かつ政治資金の収入も支出も、資金提供元も資金の使途も含めて、こちらも正々堂々ときちんと開示をするべきであることは言うまでもありません。10年後に支出明細を公開するという維新案を自民党は受け入れましたが、こんなものも国民感覚からは大きく乖離したものです。やましいことがなければ正々堂々と即座に開示すればいいのです。