夜のうたた寝があぶない理由

これは、人間の脳には、同じ刺激を受け続けていると、次第にその刺激を感じなくなる「馴化(順化)」という現象があるからです。テレビの映像や音声は、最初のうちは刺激的で、脳は興味のある映像や音声に集中します。すると脳は「起きていなければいけない」という意識がだんだん薄れてきます。

この状況が長く続くと、脳がマンネリ化(馴化)を起こして、だんだん映像や音声の刺激が弱くなっていきます。実際には観たり聴いたりしているのですが、映像や音声が単なるBGMとなり脳が眠り始めます。

これが「うたた寝」です。「うたた寝」と自発的に短い睡眠をとる「パワーナップ」とはまったく別のものです。特に夕食後の「うたた寝」は時間も長く、眠りも深く、夜の睡眠の直前なのでとても危険です。例えて言うならば「お寿司」を食べる前の「大きなショートケーキ」に匹敵します。

特に高齢者は「うたた寝」をしてしまうと夜は眠れません。

「二度寝」は睡眠不足をカバーするもの

一般的には、睡眠は分割せずに一つにまとめて長く取ったほうが良いとされています。

夜7時間しっかり眠って、昼間は眠気も疲労感も感じずに生活できる。これが理想的です。しかし、夜勤の看護師さんや、朝5時に起きてお弁当を作らなければならない主婦など、夜十分に睡眠が確保できない場合もあります。

そうした場合に、理想的ではありませんが睡眠は分割して取ることも可能です。「午前中の長い仮眠」は、前の睡眠と足し合わせることができるのです。例えば、夜勤中3時間の仮眠を取った場合、家に帰ってすぐに3時間仮眠した場合、計6時間の睡眠になります。

遠藤拓郎『最強の昼寝法「スーパーパワーナップ」 日本人の睡眠処方箋』(扶桑社)

お弁当作りで1時間早めに起きた場合、子供を送り出した後1時間「二度寝」をすれば睡眠不足を取り戻すことができます。

逆に、「午後の長い仮眠」は次の睡眠の「まえがり」になります。夜勤の看護師さんなど夜勤前に長い「午後寝」ができると、勤務中の眠気が減って楽になると言っています。一方、パワーナップは、あくまで日中の眠気や疲労感を取り除き、日中の作業効率を上げるツールです。繰り返しになりますが、パワーナップは「20分以内・15時まで」であば、1日に何度とっても問題ありません。

「疲れている」「日中に眠気がとれない」などの悩みを抱えている方は、ぜひ日常に取り入れてみてください。

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