1~2時間はアウト、鉄則は「20分以内」

パワーナップは、この「20分間の昼寝」を実践しようという試みなのです。特に慢性的に睡眠が不足しているシニアビジネスパーソンには効果的です。三菱地所は30分間のパワーナップを実践したところ、日中の集中力が向上し眠気を軽減させています(※4)。福岡県の県立明善高等学校では、昼食後15分のパワーナップを導入したところ、大学入試センターの成績が1.15倍から1.20倍まで上昇しました(※5)

パワーナップをとる上での大原則として、まず守っていただきたいのが、「夜にとる質の良い睡眠を邪魔しない、20分程度の短い睡眠」を心がけることです。間違っても1~2時間の長い昼寝をとってはいけません。

その理由は眠りの深さにあります。人は、寝付くときには浅い状態で眠りに入ります。浅い眠りは20分かけて深い眠りへと移っていきます。したがって、20分以上眠り続けると、深い眠りへと入ってしまうのです。

※4 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000020114.html
※5 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-18603010/18603010seika.pdf

深い眠りから起きるまでは時間がかかる

一度深い眠りに入ってしまうと目を覚ますのに時間がかかります。深い眠りから無理やり起きようとすると脳が眠りから目覚め切らず、目が覚めてもパフォーマンスを復活させるまでに時間がかかります。そうなれば、せっかくパワーナップを取ったのに、その効果を発揮させることはできません。

だからこそ、昼寝をするときは、深い眠りに入る前の浅い眠りの段階、すなわち20分以内で、目覚めるように心がけてください。

また、20分程度の睡眠にとどめることで、夜の睡眠を邪魔しないという効果もあります。食欲に置き換えてみるとわかりやすいと思います。今日の夜は豪華にお寿司というときに、3時にカップラーメンを食べてしまったとしましょう。夜お寿司を食べるときにお腹が空かない、食欲が出ないなど残念な結果になります。

もしも、3時に紅茶1杯とビスケットを1枚程度にしていれば残念な結果にはならずに済んだと思います。ビスケット1枚がパワーナップ、カップラーメンが長い昼寝になります。当然、お寿司が夜の睡眠になります。夜ぐっすり眠りたければパワーナップ程度で眠気をしのいでいくことが大切になります。