税務署は税金が取りやすいところにやってくる
また、兄弟や孫養子(代襲相続人を除く)などが相続人の場合は特に税率が高くなります。なぜなら兄弟や孫養子は2割加算によって相続税が2割増しになるからです。相続人が兄弟1人の場合、遺産が1億3600万円を超えると2割加算もあいまって税率は48%まで上がります。遺産が5億円あっても相続人が3人いれば税率は40%で済むので、48%がいかに高い税率であるかが分かると思います。
このように財産額が少なくても相続人の数が少ないと調査に選ばれます。税務署は、税金を取りやすいところから調査に入ります。なぜなら税務署も人手には限界があり、費用対効果を考えてできるだけ少ない労力で多くの税金を徴収できる家庭を選んでいるからです。相続税の税率が高くなる家庭は、ご注意ください。
(3)申告をしていない人
税務調査に最も入られやすいのは、申告をしていない人です。相続税の基礎控除の改正以降、税務署は無申告者への税務調査を強化しています。
無申告者を狙うのは適正な申告を促すためという建前はありますが、実はその裏には恐ろしい真の理由が隠されています。それは次の二つです。
1.ペナルティを取れるから
申告を期限までにしないと、無申告加算税というペナルティが15〜20%かかり、また延滞税も2.4%かかります。無申告の指摘をするだけで、本税とは別にこれらのペナルティを取ることができるので、調査官からすると楽なのです。
ペナルティの中でも極めつけは重加算税です。重加算税とは、財産をわざと隠して申告しなかった場合にかかるペナルティで、最高40%も取ることができます。無申告は、性質上「わざと申告しませんでしたよね」と言えるので、重加算税を取りやすいのです。
2.税理士がついておらず楽に税金を取れるから
税務調査を税理士なしで行えるということは、歴戦のプロである税務署にとって赤児の手をひねるようなものです。本来は税理士がいれば指摘されなくて済んだようなところでも、調査官の思い通りに進めることで、相続税を言い値で支払ってもらうことができるので楽に税金を取れるのです。
またこれは実際に私がセカンドオピニオンで調査のご相談にのったときの話ですが、無申告というだけで、無理やり重加算税を取ろうとしてくることもあります。重加算税は本来悪質な納税者にかけるものであって、単に申告を失念していただけでは課税されません。調査官から言われた通りに従うのではなく、まずは税理士に相談するといいでしょう。