相手方の条件をベースに交渉してはいけない
契約前には、条件交渉する場面が必ずあります。そこで契約書を読まず、よくわからないままサインをするのは大問題です。相手が提示してきた金額や条件そのままに交渉を進めると、不利な状況をつくり出してしまいます。相手は理想額を提示しているので、内心では自分の許容範囲内で着地できればいいと考えていますし、相手をみて金額を変えてきている場合もあるからです。
もちろん契約は、賃貸借でも内装工事でもM&Aでも、相手が納得しなければ先に進みません。ですが相手方から提示された金額をベースに議論するのではなく、自分たちの現実的な金額や条件を提示して交渉することが大事です。
ただしあまりに相場からかけ離れた安い金額だと、こちらの要求は、にべもなく断られてしまいますので、事前にリサーチをしておく必要があります。なぜこの金額や条件が妥当なのかを事前に考えて交渉することは国内でも同じですが、まったく土地勘のない海外では、よりいっそう意識して挑むべきです。こうして、丸亀製麺のケースでは、賃貸借契約や内装工事の交渉で大きなトラブルもなく無事進行しました。
「わからないときは自分より詳しい人を頼る」
先日、とあるカンファレンスで一緒に登壇した際に、粟田社長からはこう言葉をかけていただきました。「山中さんに相談したから理想の物件を取得できたし、いまがあります。わからないときは自分より詳しい人を頼るか、相談したうえで進めることが大事だと思っています」
成功の裏には、当たり前のことを当たり前に実行する姿勢があるのです。
ハワイ・ワイキキ店は、トリドールホールディングスの急成長を支える海外事業の出発点になりました。世界に通用するグローバルフードカンパニーになるべく躍進されている姿をみると、感慨深いものがあります。
粟田社長と出会ってからオープンするまでの約1年半、ヒト、モノ、カネ、情報の面で想定外のことは多々ありましたが、理念を守りながら地域に馴染ませたことで、ワイキキ店は丸亀製麺の世界一店舗になったといえるのでは、ないでしょうか。