丸亀製麺・粟田貴也社長との出会い

そうしたなか2009年、「面白そうだから」という理由で私の支援サービスを利用していただける方と出会い、その1件の契約から流れが変わりました。

知人にトリドール(現トリドールホールディングス)の粟田貴也社長をご紹介いただいたのも、その頃です。実は粟田社長は私と同郷で、地元経営者のなかではスター的存在であり、「この出会いをなんとしてでも形にするぞ」と意気込み、面会に臨みました。

粟田社長にお会いして話をすると、海外の話題になりました。丸亀製麺は国内での成長が著しく、海外はそこまで本気ではなかったそうですが、たまたま粟田社長がハワイ旅行に行った際に、「この物件で丸亀製麺をやったら賑わうだろう」と直感で感じる平屋の物件に出会いました。「FOR RENT」の看板が出ていたので、借りられるかを確認したところ、けんもほろろに断られてしまったそうです。

驚くことにその物件は、丸亀製麺をハワイに出すならピッタリなのではないかと、私も勝手に想像していた3つの物件のうちのひとつでした。その物件は立地がよく、早い段階で複数の申し込みが入っていました。ただ物件のオーナーは誰に貸すかをまだ決めていなかったので、交渉の余地がありました。

その旨を粟田社長に伝えると、「物件に関して一任するので、すぐに動いてほしい」とのこと。すぐにオーナーにアポイントを取り、面談することになりました。

ハワイ出店のために大切にした2つのこと

当時、日本以外のアジア諸国にもハワイ進出を狙う企業は多かったですが、なかには契約を交わしても内装工事の途中で撤退したり、退去時に契約通りの対応をしなかったりといったことがあり、オーナーも慎重になっていました。

そこで日本企業の商習慣や真面目さ、トリドールが積み上げてきた実績、丸亀製麺の魅力などを丁寧に説明しました。そうしてなんとか交渉をまとめ、ワイキキ店の物件を確保することができたのです。

とはいえ、無事オープンして多くの人に利用してもらえる繁盛店にまでつくり込むには、これからが本番です。私自身のハワイでの経験値は高くありませんでしたが、現地の経営者からうまくいったことや課題、後悔していることなどリアリティのある情報を集め、分析をしました。

それによって得た注意点はたくさんありますが、ハワイでチャレンジする日本企業を支援するために特に大切にしたことが2つあります。