同じ教科でも日本語と英語とでは学び方が違う
もう一つ、気をつけなければいけないことがある。それは、日本語での学びと英語での学びには大きな違いがあることだ。グローバル校の中には、数学や理科といった理系教科を英語で学ぶところもある。こうした教科は世界共通の答えがあるので、早い時期から英語で学んでおけば、海外の大学へ進学することになったときに困ることがない。
だが、同じ教科を学ぶにしても、日本と世界(英語圏)では、学び方自体が大きく違う。日本の中学・高校の数学は、計算に重きを置き、自分の手と頭を使って正解を出す「プロセス」を大事にした学びになっている。一方、アメリカなどの英語圏の数学は、計算はそこまで重視されていない。計算は計算機を使ってもよくて、それよりも他にどんなことに活用できるかという応用の視点を大切にしている。
これはどちらの学び方がいいか悪いかではない。中高時代にどのように学んできたかによって、その後の進路に影響を及ぼすことを知っておいた方がいいという話だ。大学の数学のテキストを見ると、その違いがよく分かる。
同じ「流体力学」でもテキストの内容は全然違う
例えば「流体力学」には気体の中の分子を表す方程式が出てくる。日本の大学のテキストには、なぜそのような式になるのかを説明する文章が長々と続くのに対し、MIT(マサチューセッツ工科大学)のテキストには、説明は一切ない。「これはこういう式で使う」という前提のもと、この方程式は血液中の赤血球の流れといった流動にも応用できると、「他に何に活用できるか」に重きを置いた学びを行っている。このように、両者は学び方がまったく異なるのだ。
それを知らずに、英語だけを一生懸命に勉強して、海外の大学で理系分野を専攻すると、これまでの学びとまったく違う学びをするので戸惑うことになるだろう。逆に国際バカロレアを導入している学校で数学を学んできた子が、日本の大学へ進学するときも同じことが言える。