国内で大学受験をするときに苦戦する子が出てくる

グローバル校は、海外大学の進学実績をウリにしている。新設したばかりの学校はまだ結果が出ていないが、6年後はこれだけの英語力を身に付け、海外大学進学も夢ではないと、説明会で校長が熱く語る。だが、開校からすでに何年か経過している学校でも、生徒の全員が海外の大学へ進学するわけではないし、グローバル教育を謳っているわりには、まだそこまで進学実績が出ていないようにも感じる。そして、進学実績を出している子の多くが、実はもともと英語ができる帰国生だったりする。

つまり、その他大勢の子は、国内で大学受験をするということだ。そうなったとき、英語ばかりに力を入れすぎてしまうと、他の教科の学習にまで手が回らず、大学受験で苦戦してしまうという、思わぬ落とし穴があることを知らない親は多い。

参考書を持って説明する学校の先生
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英語ができるようになって「何」を学びたいのか

ひとくちに「グローバル校」といっても、その中身はいろいろ。国際バカロレアを導入している学校、一部の授業を英語で学ぶ学校、英語のみレベルによって取り出し授業を行っている学校など、英語に力を入れる度合いは違う。将来的に海外の大学で学びたいと思ったとき、「英語ができるような状態になっている」ことは望ましい。でも、「英語ができるだけ」では不十分だ。なぜなら、それは「日本語ができるから日本の大学へ行く」という状態と何の変わりもないからだ。

大学へ進学する理由。それは、何か学びたいことがあるから行くのではないか。日本の高校生の場合、医学部などの専門学部でない限り、そこまで明確に何を学びたいかまで決めている子はいないかもしれないが、それでも、工学部の情報分野に行きたいとか、物理分野に行きたいとか、なんとなく進みたい道があるだろう。

ところが、こうしたグローバル校へ進学する子は、「英語が得意になりたい」「海外の大学に行きたい」という希望はあっても、そのスキルを使って何をしたいか、何を学びたいかまで考えが及んでいないことがある。それでは、ただ英語が話せるというだけで、海外の大学へ進学したとしても、その後で途方に暮れることになるだろう。