二刀流を目指して中途半端な状態になるリスク

グローバル化が進んだ今、子どもの将来の進学先に「海外の大学もありかもしれないな」とぼんやり考えている家庭は少なくない。そういう場合に、英語やグローバル教育に力を入れている学校は、確かに魅力的に見えるだろう。

しかし、英語が話せるというだけで海外の大学を目指すと、「何を学びたいか?」「何になりたいか?」といった明確なビジョンがないまま、中途半端な海外生活を送ることになるかもしれないし、英語だけに力を入れすぎたせいで、国内の大学受験に必要とされる教科バランスが欠けてしまうこともある。つまり、よほど明確なビジョンと覚悟を持って入らないと、海外・国内の大学どちらを選ぶにしても宙ぶらりんになってしまうということを知っておいてほしい。

これは、日本語がまだおぼつかない幼児期の早い段階から英語を習わせ、母語である日本語をしっかり身に付けられないまま、かといって英語が堪能というレベルでもないという、早期英語教育の弊害と状況が少し似ている。二刀流を目指したものの、かえって中途半端な状態になってしまうのだ。

アルファベット
写真=iStock.com/Daniela Jovanovska-Hristovska
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「将来、どの言語で学ぶのか」を考えた方がいい

だからこそ、こうしたグローバル校を受験する場合は、その先のことまでしっかり考えておくべきだ。グローバル校は確かに英語教育に力を入れているし、海外の大学の情報も豊富だ。でも、将来、海外の大学に進学することをまったく視野に入れていないのであれば、そこまでこだわる必要はない。開成中や桜蔭中といった難関校では、取り立てて英語教育に力を入れているわけではないけれど、近年、海外の大学へ進学する子も増えているし、グローバル校でなくても私立中高一貫校なら海外へ行くチャンスは多い。短期で体験した語学研修で海外に興味を持ち、自ら英語を頑張って勉強する子もいる。

小学生の段階で、将来は海外の大学へ行くと決められる子は少ない。だが、もしグローバル校を検討しているのなら、将来、どの言語で学ぶのかをよく考えた方がいいだろう。人気があるから、なんとなく良さそうだからと、安易に入れてしまうと、後で困るのは子どもだ。グローバル校だけではない。中学受験で一番大事なのは、「わが子にとってのベスト校」を見つけることだ。中高の6年間の学びは大きい。そこで何を学び、どんな力を付けていきたいか、そして将来はどんな環境で学ばせたいか、長い目で見ていく必要がある。

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