待つのもつらいが、待たせるのは、もっとつらい

もし、あなたがライバル会社の営業に負けたくないのであれば、スキルを磨くのと同じくらいに、仕事のスピードにはこだわってみてください。

というのも、スピードは誠意でもあるからです。

「待つのもつらいが、待たせるのは、もっとつらい」

これは、私がお世話になっていた、飲食チェーンの社長がおっしゃっていた言葉です。

当時も今も、常にウェイティングができる、「超」人気の店です。

最初にこの言葉を聞いた時は、「うまいことおっしゃるな……」程度の理解でした。

でも、話を聞くほどに、その真意がわかりました。

お客様にとっての時間は、大変貴重なもの。

その時間を奪ってしまっている、そんな申し訳ない気持ちから生まれた言葉だったのです。

私は、考えるほどに自分の至らなさを痛感しました。

当時の私はそこまで考えたことはなく、「ちょっとくらい待っていただくのは仕方ないのでは……」、そう考えていたからです。

実際のところ、ちょっとくらい待っていただいたとて、クレームにはなりません。

でも、あなたのお客様もきっと、あなたに連絡をする際、ほとんどの場合は急ぎであり、少しでも早く解決したいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。

だとしたら、あなたからの折り返しの電話があるまで、ずっと受話器の前で待っていらっしゃるかもしれません。

その間、他の用事をストップされているかもしれません。

そのことを想像すると、やはり「待たせるのは、もっとつらい」となるわけです。

これがスピードは誠意と考えるようになった理由です。

営業はスピードで誠意を見せる

とはいえ、安心してください。やることは極めて簡単。

無理をする必要はありません。

何でも急ぎでやると、後の仕事に支障が出ますから。

まずは、次のことをしてみてください。

・可能な限りでよいので、スキマ時間を使って何事も早く対処する。
・可能な限りでよいので、メールは、90分以内に返信する。
・すぐに返事できないことでも、「**までお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と早目のレスを入れれば親切。
・お客様から携帯に電話がかかってきたら、その場では電話に出られずとも、その後に迅速に連絡をする。
または、その場で、ショートメール1行でもいいので、「すみません! 10分後には電話ができるかと思います」と可能であれば入れる。

いかがでしょう。たったこれだけ。

でも、こう思われたかもしれません。

そんなことをしていたら、あわただしくてしかたがない、と。

私もそう思います。バタバタするのは嫌ですよね。

なので、ちょっとズルいこともお伝えしますね。

予定を組む際は、ギチギチにスケジュールを埋めないことです。

バッファを含めておきましょう。

バッファとは、「余裕」のことです。

アポイントを取る際は、内容によっては13時〜14時(60分)ではなく、13時〜13時40分(40分)とする、15時から16時はあえて固定の予定を入れない、といったようにバッファをスケジュール化しておくのです。

伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)

このバッファがあるからこそ、バタつくことなく「お待たせしない対応」ができるというわけです。

もう1つ。

すぐに動かずとも、納期を明確にしてください。

今すぐでなくとも、「かしこまりました。明日の10時までには送らせていただきます。差し支えございませんでしょうか」と、すぐに返信すれば、急ぎの仕事ではなくなります。

うまく調整しながらもスピード感のある対応は、できる営業の条件です。

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