当たり前の幸福に気づく「四馬」の教え

「当たり前」ほどありがたいものはない――失って初めて気づくようでは遅い

私たちは息をして生きていますが、「空気はありがたい」と感謝することはまずありません。健康もそう。「病気になって初めてそのありがたみに気づく」ものです。

もっといえば人間の存在も同じ。親や友人などの大切さ、ありがたさに、亡くして改めて感じ入ることはよくあります。いずれも「あって当たり前」と思っているからです。

枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)

しかし本当は、常日ごろから「当たり前ほどありがたいものはない」と認識し、その当たり前を失うまでもなく大事に感じて生きていかなくてはいけません。「当たり前にある幸せは、当たり前ではないんだ」と意識を切り替えることが大切なのです。

お釈迦さまの教えに「四馬」の話があります。これは、鞭に対する馬の感度に譬えて、人間の無常を説いたもの。

「一番賢い馬は鞭の影を見て、二番目は鞭が尻尾に触れるか触れないかで、三番目は鞭が当たってから、四番目は鞭を骨身の痛みに感じてから走り出す」と説いています。

鞭を人の死ととらえると、「自分を含め、人はいつ死ぬかわからない。そのことを常に頭に置き、いまある当たり前の幸せに感謝し、自身の一生を大切に生きていきなさい」と解釈できます。尊い教えですね。

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