失礼な物言いをしてくる相手にはどう対応するといいか。禅僧の枡野俊明さんは「非礼・無礼に対しては『怒ったら負け』と心得るべきだ。その理由は2つあり、1つは当の本人はだいたいにおいてその自覚がなく、そんな人と同じ土俵で争ってもこちらが疲れるだけということ。もう1つは、相手の指摘が正しいことがままあるということだ。そのため、『受け流す』のが賢明だ」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

面接に来た女性と対面の二人の面接官
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顔も、体格も、性格も、能力も……何もかもみんな違う

人は人、自分とはすべて違うと考える――この前提が人間関係の基本

この世の中、一人として同じ人間はいません。同じ親から生まれた兄弟姉妹も、双子でさえも、同じではないのです。それは禅語に、

宇宙無双日うちゅうむそうにち 乾坤只一人けんこんただひとり

とあるとおり。宇宙に太陽が二つとないように、私という人間は天地古今――天と地の間にただ一人の存在なのです。

ですから人は自分と違っていて当たり前。容貌や体格はもとより、性格も能力も嗜好も価値観も、すべてが違います。

それなのに、なぜか自分と違う考え方や振る舞いをする人を見ると、あたかもそれが正しくないかのように、「おかしいじゃないか」と不満に思ったり、怒りを感じたりする人が多いのです。

逆にいうと、違いを認めさえすれば、不満や怒りが生じにくくなるのではないでしょうか。

「すべての人が違っていて当たり前」と割り切る、それだけで人間関係はずいぶんうまくいくようになるはず。

いま流にいえば、それが「ダイバーシティ(多様性)の尊重」につながるのだと思います。