何が起きても冷静に対応し、人間関係を構築できる人は何をしているか。禅僧の枡野俊明さんは「怒ること自体がパワハラと判断されかねない時代、説教を含めて『怒ったらおしまい』と自戒するくらいでちょうどいい。『何か事情があるんだろうな』と思いやって一通りの事情に耳を傾けたうえで、落ち着いて諭してあげたほうが、頭ごなしに怒られるよりよっぽど説教も身にしみるだろう」という――。

※本稿は、枡野俊明 『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

カウンセラーと対面する落ち込んで頭を抱えた女性
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“忙しい自慢”は恥ずかしいこと

「忙しい」のは相手も同じ――それを決して忘れるべからず

いまの世の中、忙しい人だらけ。それなのに自分だけが特別に忙しいかのようにふるまう人が少なからずおられます。

実際に「忙しい、忙しい」と声に出し、周囲に触れ回る人。誰かに話しかけられると、とたんに「忙しいんだから、近寄るな。これ以上、自分の仕事を増やさないでくれ」と怒り出す人。

空いている日を聞かれると、この日は何、この日は何と、スケジュールが詰まっている日を数え上げる人。主張のしかたはさまざまですが、たいがいの人は“忙しい自慢”をします。

おそらく忙しくしていることが、活躍していること、人気のあることの証だと考えているからでしょう。ヒマなことを恥と思う人すらいるようです。

本当にそうでしょうか。段取りが悪かったり、進め方が効率的でなかったりして、仕事が遅いから忙しい、という可能性もあります。また便利に使われているだけかもしれません。だとしたら、忙しいと吹聴することが、恥ずかしくなってきますよね。

まずは「忙しいのは自分だけではない。ことさらにいい立てるほどのこともないし、それに忙しいことは自慢にならない」と、肝に銘じてください。