「渋谷TSUTAYA」は「モノを敷き詰める」から「場所を作る」へ

ハラカド以外の例も出そう。

同じく4月にリニューアルオープンした、渋谷駅前のスクランブル交差点に面する「渋谷TSUTAYA」である。私は正式オープンの前日・プレオープンの日に館内をじっくり見たのだが、まさにここも一種の「余白」が目立つ施設に様変わりしていた。

筆者撮影

今回の渋谷TSUTAYAリニューアルオープンの一つの目玉は、それまでTSUTAYAがさまざまなカルチャーコンテンツという「モノ」を「並べる」場所だったのに対し、むしろ、カルチャーを通じて、人々が交流する「場所を作る」ことへと、かなり大胆に舵を切ったことだ。3・4階は広大なシェアラウンジになって、人々が滞留できる場所を作っており、5階には「POKÉMON CARD LOUNGE」があって、ポケモンのカードゲームを通じて交流できる場所を作っている。

筆者撮影
POKÉMON CARD LOUNGE

また、6階の「IP書店」や、1階のイベントスペースなどは時期によって、入れ替わり立ち替わりさまざまなIP関連グッズ(※)が展示されるようになっており、それ以外の期間は「空白」のスペースである。そこではどんなものも展開される「余白」があり、その意味で自由さに満ちたスペースだともいえる。

※著作権・特許・商標、アニメ・ゲーム・小説・映画などのコンテンツとそのキャラクター

こうした姿は、リニューアル前のTSUTAYAが、常にDVDやCDなどでぎっしりと埋め尽くされていたことと好対照だ。「モノ」がたくさん詰まっているというより、「スペース」が目立つようになっている。

ただし、その「余白」は決して、「空きテナント」的なネガティブの意味ではなく、とてもうまく演出され、スタイリッシュな空気を漂わせている。渋谷TSUTAYAの改革とは、「余白」を生み出す改革だったのだ。