高血圧を治療すれば、全死因死亡率は13%減少

では、高血圧はどれくらい危険なのかというと……。

上(収縮期)の血圧が10上昇すると、狭心症や心筋梗塞を発症する危険性が15%、透析が必要となる腎不全が30%増え、血圧レベルの上昇とともに死亡率が上がります。

さらに、タバコを1日1箱吸うと虚血性心疾患のリスクは43%増加し、糖尿病になると、なんと250%も上昇。さらに、コレステロール値が10上がれば13%増加……など、高血圧に加えてリスク要因が重なっていくほど、心臓の健康は重大な危険にさらされていきます。

血圧が130から140、150と上がるごとに患者さんの数は増加し、全死亡のうち約20%が120/80を超える血圧が原因となっていて、その数は年間10万人にのぼります。

逆に、高血圧をきちんと治療すれば、心臓病や脳卒中の危険性を大きく低下できます。上の血圧を10下げるだけで、狭心症や心筋梗塞のリスクは約5分の1、心不全と脳卒中のリスクは約4分の1、そして全死因による死亡は13%も減少します。少し血圧を下げるだけで、大きく病気を回避できるのです。

大島一太『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)

ここで紹介した5つのリスク要因は、心臓にとって最も厄介な存在です。その別名は「サイレントキラー」と呼ばれています。

ガンはなぜ発生するのか、正確にはまだよくわかっていません。いっぽう、心臓の病気、なかでも最も多く遭遇する血管が詰まるなどして発症する心血管病は、しっかり予防することができます。

一つひとつをていねいに改善することで、心臓や血管に発生する心血管病を予防する、ひいては心不全を予防する、そういった意識をしっかり持っていただきたいと思います。

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