デベロッパーの経営難で深圳などにゴーストタウンができている

デベロッパーの経営難により、現在開発中のマンションや商業ビルなどの物件が未完成のまま、ゴーストタウンになるケースが増えている。もっとも有名なのは深圳しんせんの新しいランドマークとなる中国一(世界2番目)の超高層ビル「深圳世茂深港国際センター」(140階建て、高さ700メートル)だ。開発の途中で資金が枯渇し、現在未完成のまま売りに出されているが、買い手がつかない状況が続いている。他にも、マンションを買ったが、そのマンションが完成されずに放置されているケースも増えている。買い手にとってまさに悪夢となっている。

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深圳市の中央ビジネス特区、2023年(※写真はイメージです)

不動産バリューチェーンにあるすべての企業と個人はなすすべがなく、政府による救済に淡い希望を抱きながら、景気が上向くのを待っている。

不動産バブルが崩壊すれば、老人たちが年金難民になる

中国の不動産バブル崩壊は銀行に飛び火するだけでなく、地方政府および年金生活者にも深刻な悪影響を及ぼす恐れがある。この点は日本の不動産バブル崩壊と大きく異なるところである。日本のバブル崩壊は銀行に飛び火したが、預金保険制度を使って預金者を保護し、財源が足りない部分について政府が保証したため、傷がそれ以上に拡大しなかった。それでも、日本は失われた30年に突入した。いまだに日本経済は十分に回復していない。

それに対して、中国の不動産バブルが崩壊して、もっとも焦るのは地方政府のはずである。これまで土地使用権を払い下げることで、多額の財源を手に入れていたからだ。その財源の一部は地方政府が管轄する年金などの社会保障基金に注入された。中国は日本以上に高齢化のスピードが速い。社会保障基金は全国一律のプールではなくて、各々の地方政府が管轄しており、それぞれ独立したプールになっている。

保険料も徴収されてはいるが、必ずしも十分ではない。とくに経済発展が遅れている地方では、土地財政からの補填が必要不可欠である。不動産バブルが崩壊して、地方政府の財源が枯渇し、それによって一部の年金生活者は年金難民になる可能性がある。