再エネのための「隠れ増税」で月額1400円のコスト増
2024年度の日本の国民負担率(見込み)は45%を超えており、今や五公五民に近い水準に達しつつある。インフレ率上昇に賃金上昇は必ずしも十分に追いつかず、毎年の社会保障費等の政府支出を抜本的な改革を実施しない場合、現役世代の家計は干上がりますます少子高齢化は進展していくことになる。
そのような中、今年度は再エネ賦課金が既に大幅に上昇することが決定した。電力料金に上乗せされている再エネ賦課金は、2024年度は1キロワット時あたり3.49円となり、標準的な家庭で月額約1400円のコスト増を迫られている。また、再エネ賦課金は日本企業にとって電力を大量消費する工場などのコスト増につながり、賃上げも含めた企業の余力を削ぐ要因にもなっている。
2024年度の再エネ賦課金総額は2兆6850億円であるが、実は再エネ賦課金に関する電力料金負担増は上述の国民負担率には計上されていない。財務省は税金と社会保険料以外は国民所得に対する租税負担等の総額に含めないとしているからだ。消費税約1%超に相当する巨額の負担を除外した国民負担率の数字は国民負担を測る指標として不正確な指標だと言えるだろう。現実の国民負担は数字で表れている以上に重くなっている。
そして、現代の日本では実質的な強制を伴う半税金的な支出が急速に増加している。それらは国民負担率に反映されないものの、中長期的に国民の生活を圧迫することになる。このような「隠れ増税」がまかり通る現状を放置することは極めて問題である。
日本版「炭素税」で予定されている「大増税」
日本では「炭素税」という税金は公式には存在していない。主に、フィンランド、スウェーデン、フランス、ドイツなどの欧州において導入されている税金であり、企業などが燃料や電気を使用して排出したCO2に対して課税する制度だ。米国でもバイデン政権ら左翼勢力が推進しているが、現在のところ、シェールガス・シェールオイル産業を支持基盤に持つ共和党の強い抵抗にあって実現していない。
もちろん、日本でも「炭素税」が国会で公式に創設されたことはない。多くの国民の認識も同様のものだろう。しかし、「日本版・炭素税」は既に昨年の通常国会で「隠れ増税」の形で導入が決定されている。そして、国民に将来的に大増税をもたらすことが予定されている。